21 エピローグ
また、王宮に呼ばれたクルリ。豪華な食事が並び、会場に入りきらないほどの賓客が訪れるパーティーが開かれている。
「クルリ・C・シフトよ、無事に師匠を打ち破り反転の魔女となったこと。私のことのように喜んでおるぞ」
「ありがたきお言葉に感謝させていただきます」
「うむ、王国のために今後も励んでおくれ」
パチパチと王宮には大きな拍手が響く。
「それでは、お待ちかねの『反転の魔女』様による世界初のご講演をいただきます」
クルリは礼装姿で壇上に登る。
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親愛なる皆様。
皆様、私はこの度、長い修行の果てに反転の魔女として、王宮に戻ってまいりました。私がここにいるのも、皆様のおかげであります。
私が旅立った時、私を育ててくださった方々には心苦しい思いをさせました。しかし、私が修行を続け、今こうして戻って来られたのは、彼らの愛と支援があったからこそです。そのため、今日は彼らに感謝の気持ちを述べたいと思います。
最初に、私を育ててくださった母に感謝の意を表します。私が旅立つ時、普段は凛々しい母がいつもと違ってちょっとだけ心配そうな顔をしていました。それでも私を信じ、応援してくれたことが私の励みになったことは間違いありません。今こうして力を得ることができたのも、母の愛のおかげです。
次に、時に厳しく時に優しい二人の師匠にもお礼を申し上げます。最初はハチャメチャなことをおっしゃるけれど、何かしら必ず良い経験を頂けるゼロ師匠。いつも凛々しくも世間の厳しさを教えていただけるヴィクトリア師匠。尊敬する師匠のお二方のご指導がなければ、反転の魔女は存在しなかったでしょう。
また、旅の途中でお世話になった方々にも感謝しています。私が困難に直面した時、助けを求めると、彼らは惜しみなく私に手を差し伸べてくれました。彼らの優しさに触れ、私は自分自身の弱さを認識することができ、そのことが私を成長させました。
そして、最後に、王宮の皆様と国王陛下に感謝を述べたいと思います。私の修行に際して、ご支援いただいたことももちろん感謝しておりますが、何より励みになったのは、私に対して惜しみなく期待していただいたことです。今こうして皆様と再会できたことは、私にとって非常に幸せなことです。
皆様、私は皆様のおかげで今日こうしてここにいます。今後も、私は皆様に恩返しができるよう、自分の力をさらに磨いてまいります。心から感謝を述べるとともに、今後は反転の魔女に恥じぬ活躍をお約束いたします。
今後ともご支援ご協力よろしくお願いいたします。
クルリ・C・シフト
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拍手で沸き立つ会場。そして、王国から魔女の称号を得たクルリ。
「それで、クルリ殿」
パーティー会場が急に鎮まる。国王陛下が話を始めたからである。
「そなたに反転の魔女として最初の依頼をしたいのだが良いか? これができるのは君しかいないからな」
さっきまで堂々としていたクルリが急に背筋を丸める。
「あっ、はい、承知しております」
「うむ、わかっておるなら良い。そなたが原因であるからな。しっかり魔女としての責務を果たすんじゃぞ」
「あはは…」
「では命じる。君の三人の師匠である、創造・勝利・絶対の魔女が君によって虚無・敗北・相対と成り代わり世界に混沌をもたらしている。あの三人を元に戻し、世界の平和を取り戻すのだ! いいな、マジ絶対だぞ!」
クルリは、はにかんで笑うしかなかった。
魔術師はクズ男を探して性格を反転させようと目論む 遥海 策人(はるみ さくと) @harumi_sakuto
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