<良いところ>
有隆という人物。第9章にかけてから、この作品は始まったと思います。有隆というキャラがメインになるのですが、すっごく気持ち悪くて、でも妙に人間味あるのが良いです。有理っていうキャラも嫌〜な気持ち悪い性格ですけど、有隆も現実にいそうな気味の悪さが全面に出てて面白い!
ネット小説なしからぬ文体も、作者の特徴として高く評価します。特に9-3の違和感緊張感とか、10-3の薬の突っ掛かりの描写も素晴らしいなと思いました。音が枯れという表現も上手いなと感じました。
序盤は分かりにくいけど、せめて9章から読んでほしい作品です! 有隆と有理以外の説明とかは一切なくなりますが、有隆の純悪さが素晴らしいほど出てていいです!
書籍化されてたら、意外と人に勧めたくなる作品でした。
<気になるところ>
ネット小説っぽくない文体なので、三人称から急に人物(の気持ち)に近くなるのが気になる。会話文は見えやすかったが、地の文が少し見えにくい。文章を短く切るべきかもしれない。序盤が、どうもグダグダしてる風に見えてしまった。
これは、読んでいても騙される。
最終的に開示されていく答えの中で、なるほどそういうことだったのかと、そんな風に思わされる。
読了後にタイトルの意味を考えた。二重感嘆符、二重の驚き。二重、二重……確かに重なっているものがある。
家族、というものがひとつのキーワードでもあるのだろう本作、そして見え隠れしているのは方向性の異なる執着だ。
何に執着し、何を得ようとするのか。人間というものは、自分の理想に手が届かなくなったとき、どうなるのか。
歪み、追い詰められ、壊れ。あるいは追い詰め、壊し。
人間とはかくも恐ろしき、などと思うのは自分だけでしょうか。
ぜひご一読ください。