歩幅

 作者入魂の構成と語り口調が光る力作。どこか現代社会を風刺しているようにも思えるし、素朴なメルヘンともいえれば全てが夢の中だったとされても違和感が全くない。

 とらえどころがないようでいて、その実しっかりとした『足場』があるのは皮肉でもあり救いでもある。

 必読本作。