それは過たぬ一手であった

逆転の一手——そう呼ぶより他に無いだろう。

それは盤上の勝敗の行方を決定付ける一手でありながら、しかし起死回生の最善手ではない、正しく悪手だった。

人という矮小な生き物の視座では理解の及ばない神の一手——あるいはそれは天の配剤であったのかもしれない。

極限の局面を切り開き、終局の果てに活路を見出した時、主人公はようやく理解する。

神が授けた、その悪手の真意を。

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