第三章

執筆 ミスタスカタマン

加筆修正 コマキダイ




 とあるマンションの一室。

 部屋の中は薄暗いが、代わりにモニターの明かりが強く光を放っていた。そのモニターの前には、一人の男の姿があった。

 男はカメラに向かって挨拶をする。

 

「ウィィィィっす、ゲスな話題をマルっと攫う、ゲス丸ちゃんでぇえす!」

 

 モニターに映されたゲス丸の隣りにあるコメント欄には大量のコメントが流れていた。


『ゲスキャラ登場!』


『今日も頼むぜ!』


 などの応援のようなコメントのほかに、


「不倫報道でっち上げ嘘つき野郎」


「人殺し!」


「コイツよくまた配信できるよな」


 など、ゲス丸に対しての批判的なコメントも流れていた。そのコメントには目を向けず、ゲス丸は話を進める。

 

「はい今日はですね、人気急上昇の歌手、月村みきちゃんの話題だけど……、やっぱあんなに急にヒットするってやっぱ可笑しいよねぇ……。てことで、俺ちゃんは彼女がプロデューサー、マネージャーと一緒にホテルに行くところを週間バレロが激しゃ……、し……し、しぎギギギギギギギギギギ!!」

 

 話を進めていたゲス丸の背後から、謎の縄がゲス丸の首にかかり、その首を強く絞めつける。


「だ、だんだゴレ……、だずげ……でぐりゃ……」

 

 徐々に持ち上げられていくゲス丸、最初こそ抵抗していたゲス丸だったが、やがて力がなくなっていき、助けを求めながら息の根を止め、そのままドサッと落下した。

 

『え?死んだ?』


『なんかよく分からんけど……』


『え?こわ……』


 などのコメントがモニターに流れる。その一方で、


『誰だか知らないがよくやった』


『天誅!』


『ザマーミロ!』


などの心ないコメントも流れていた。しかしながら、ゲス丸にはそのどちらも届くことはないのであった……。



 

 日曜の昼、神藤探偵事務所。

 昨夜の怪事件をニュースが報道している。それを、ヒロキ、神藤、真由美が朝食を食べながら見ていた。


『......遺体で発見されたのは、無職の丸村助之まるむらすけゆきさん、33歳。丸村さんは、動画配信を行っており、撮影中に……』

 

「このテの事件、また起こったんですか…」


 ヒロキがテレビを見ながらそう言うと、同じくテレビを見ていた神藤が話し始める。

 

「殺害された丸村って男はU-Tuber……、ってヤツなのか?。これまた不思議なもんだなぁ……」

 

 真由美は、それを聞いて不機嫌な顔で神藤に話しかける。


「ちょっとおじさん、こういう配信者のことを何でもかんでもU-Tuberって言わないで。この人、特にU-Tubeやってなくて、TキャストとTvitterだけなんだから。それにこの人も、前殺された他の配信者も、いっつも芸能人の悪い噂のあることないこと言ってて、凄く評判悪かったんだから!」

 

 真由美の圧に少し押され気味になる神藤とヒロキ。


「へ、へぇ……、さすが現代っ子……」


「へぇ……って……、じゃ、私言ってくるから」


 ヒロキに対し呆れながら事務所を出る真由美。神藤はそれを見送ったあと、ヒロキに話しかける。

 

「さ、我々も行こうか」


 ヒロキは、今日の予定を改めて思い出す。


「あ、依頼人の方との面会ですね……。分かりました、行きましょう!」


 二人は事務所を出て、目的地に向かった……。

 


 

 ヒロキが通っているいつものカフェ。神藤とヒロキは、そこで依頼人である男と面会していた。その依頼人が、二人に対して名刺を差し出す。


「どうも神藤さん、わたくしプロダクション・サニーピースの鷹尾昂たかおたかしといいます」


「頂戴致します……。それで、ご依頼の件は?」


 名刺を受け取り、さっそく依頼について聞いていく神藤。鷹尾は、二人に男の写真を見せて話し始めた。


「すみません……、私の友人なんですが、この人を捜してほしいんです」

 

 神藤は写真を眺める。


「ご友人ですか……、それで、捜した後はどうすれば……?」

 

 鷹尾に問いかける神藤。鷹尾はそれに対し、奇妙な返答をする。


「あの……、皆さんは本人には合わないでほしいんです。私が直接、こいつにお会いしたいんです」

 

 神藤とヒロキは、どういうことだ?、と、互いの顔を一度見て、再度鷹尾に顔を向けた。


「……はぁ、分かりました。名前は、交山恒こうやまわたる、27歳……」

 

 写真と共に置かれていたメモ用紙の文を読む神藤。ヒロキは、先程の鷹尾の返答がどうしても気になってしまい、思わず鷹尾に問いかける。


「この人を見つけたあと、どうするんですか?」

 

 鷹尾はそれに対し、


「すみません、ちょっとそれは……」


と、返した。


「ヒロキ!」


 ヒロキを抑えるためか、神藤が彼の名を強めに呼ぶ。ヒロキは冷静になり、

 

「すみません……」


と言って、しばらく黙り込んだ。


「では、よろしくお願いいたします……」


 そう言って、鷹尾は二人の元から去っていった……。




 町の大通を歩く神藤とヒロキ。ヒロキは神藤に対し、


「詳しい事情も聞かなくて、いいんですか?」


と、神藤に問いかける。


「人にはそれぞれ事情がある。探偵にだって深入り出来ないこともあるのさ……」


「そうですか……、あっ……」


 急に立ち止まるヒロキ。


「どうした?、あぁ……」


 神藤は、ヒロキの目線の先を追う。その先には、大型のテレビスクリーンに、歌手である月村みきの映像が映っていた。ヒロキはそれを見て、再び話し始める。


「月村みきかぁ……、最近殺された配信者がネタにしてましたけど、黒い噂があるってホントですかね?」

 

 神藤は、それに対して答える。


「さぁな、だがあまり噂ばかり鵜呑みにして、それをさも真実かのように言いふらすのは感心しないな……。人には知られたくないことのひとつや二つはあるだろうに……、それを表に出すのはどうもな……」


「そ、そうですね……」


 申し訳なさそうにヒロキが言う。


「さて、この人を探さないとな……。今はどこにいるんだか……」

 

 神藤はそう言うと、再び歩き始めた。


「あ、待ってください……!」

 


 

 探偵事務所に帰る二人。


「おかえりなさい!どうだった?」


 友人との用を済ませたのか、真由美は事務所に帰って二人を待っていた。


「うーん……、今日は収穫なしだな」


 と、神藤が言う。


「そう、残念……」

 

 すると、真由美のスマホから誰かが話している声が聞こえた。ヒロキと神藤は、真由美のスマホ画面を覗いてみると、丸村のような配信者の男の動画が映されていた。その動画の下にある概要欄には、日戸ひどちゃんねる、の文字があった。


『こないだ死んだゲス丸?。あれはアイツの自業自得でしょ!。しかもアイツ、死んでから無職ってバレて、恥ずかしいよなぁ!』


「これは……」


 ヒロキが動画を見てそう言うと、真由美は慌ててスマホの画面を切った。


「あ、ゴメン!、スマホ切ってなかった。実は学校の男子がよく見るチャンネルで、私にもおすすめしてきたから見てみたんだけど、こないだ殺された人みたいに、人の不幸をネタにしてるみたいでイヤな感じなの。ゴメンね、イヤな気分にさせて……。この人、住所までバレてるのにこんなこと続けてるんだって……」


 真由美は、申し訳なさそうにそう言った。だが、ヒロキは特に気にするような様子でもなかった。


「いや、それは別にいいんだけど……」


 ヒロキはそう言うと、少し考え込む。

 

(もしかして、丸村を殺した犯人の狙いは、こういった配信者だろうか……。だとしたら次はこの人の可能性だって……)


「神藤さん!」


 ヒロキは考え混んだあと、神藤に声をかける。


「どうした?」

 

「ちょっと俺、行きたいところがあるんで、夕飯は二人で済ませちゃってください!」


 そう言うと、ヒロキは再び事務所の扉を開いた。


「ちょっとヒロキさん!」


 真由美がヒロキに呼びかけるが、その頃には扉は閉められ、しばらくしてバイクの音が鳴り響いては、小さくなっていった……。



 

 その日の夜、時間は21時ごろ。

  アパートの一室でパソコンを起動させる男がいた。おそらく配信者なのだろう、モニターの上には小さなカメラが設置され、画面は配信サイトが映されていた。


「どもっしゅ!。日戸ちゃんねる!。今日の話題はやっぱりコレ!、月村みきのアノ話題!、この件で同業のゲス丸が死んじゃったけど、まぁライバルが減って俺はラッキーだぜ!」

 

 と、陽気に語る日戸。画面のコメント欄には、


『コイツ最低だな』


『お前も死ねよ』


 などの辛辣なコメントが並ぶが、また一方で、


『次のネタも期待してるぜ!』


などの好意的とも言えるようなコメントもまた並んでいた。


「へへへ、じゃあ早速週刊紙の話題を……っ!?、おごごっ……!?」

 

 ゲス丸の時と同じように、蜘蛛の糸のようなものが首に巻き付き、日戸の首を絞めつける。

 一方ヒロキは、日戸の家の前までたどり着くも、争乱の音を聞いて手遅れであると悟った。


「くそっ!、やっぱりか!!」

 

 ヒロキがそう言った次の瞬間、日戸の部屋の窓ガラスが激しく割れた。そして、その窓から勢いよく蜘蛛のような怪物が現れる。ヒロキは目を見開いた。


(まさか……、石垣と同じ……!)


「見たな……!」

 

 蜘蛛型怪人はそう言うと、ヒロキに殴りかかった。


「ぐあっ!?」


 その衝撃で、ヒロキは数メートルも殴り飛ばされ、意識を失いかける。

 直後、ヒロキの体の中からは強い光が放たれ、その姿は別のものへと変わった。蜘蛛の怪物はそれを見て驚く。


「なに……!?、お前も俺と同類なのか!?。ならば邪魔をするな!!」

 

 ギヌスとなったヒロキに殴りかかる怪物。だが、ギヌスはそれを受け止めた。


「お前と一緒にするな……」


 ギヌスはそう言うと、怪物を何度も殴り続けた。その影響で、怪物は肩の足のうちの一本が折れるほどの怪我を負わされてしまう。

 怪物は、ギヌスから距離を置き、手から糸を伸ばし鞭のように振るった。ギヌスは、その攻撃を避けながら間合いを取り、糸の先端を掴む。


「なぜこんなことをする……」


「うるさい!、これは復讐だ!!、傷ついたみきたちのためのな!!。とにかく邪魔はさせない!、まだやらなきゃいけないんだ!!」

 

 部が悪いとみたか、怪物は糸を引きちぎりその場から逃走した。

 怪物は、逃げながら徐々に人間の姿となった。ギヌスもヒロキの姿に戻り、その男を追いかけた。



 

 閑散とした路地裏、先程怪物だった男は必死に逃げていた。先程の戦いのダメージからか、肩からは血が流れていた。


「まだ終わるわけには……」

 

 すると、男の背後からある男が現れた。


「やっぱりお前だったのか!、交山!」


「鷹尾……、お前……」

 

 先程の日戸の事件をどこかから聞きつけたのか、その住所近辺を探し回っていた鷹尾が、蜘蛛の怪物、交山を見つけだした。そんな二人の元に、ヒロキが駆けつける。


「鷹尾さん……、どうしてここに……、それにあいつは……!」


 ヒロキの前で話を続ける交山と鷹尾。


「鷹尾……、お前には知られたくなかった……」


「お前がこんなことをしても、みきは喜ばないぞ!」


「ならお前は許せるのか!?、こんなことを広めようとする奴が!。俺はどうしても許せなかった……、日に日に怒りが増していった……!、その怒りが抑えられなくなるほど大きくなった時、俺はこの力を手に入れたんだ!。そして思った、この力を使えば奴らを……!!」

 

 交山に怒鳴られる鷹尾。しかし、鷹尾もそれに対して反論する。


「許せない!、許せはしないが、お前がそれをやる必要はない!。俺もお前も、みきに励まされたんじゃないか!、お前がこんなことをしてるって、みきにどう言えばいいんだ!」

 

 交山は少しだけ俯いたあと、再び話し始める。


「でも俺は、もう後戻りできないんだ……、だから、俺のやり方でやらせてくれ!」

 

 交山は手から糸を出してビルの上まで一気に移動した。


「交山……」


そして、そのままビルの谷間を潜り抜けて行った……?


「鷹尾さん、どういうことですか……、あいつの正体を、知っていたんですか……?」

 

 鷹尾はヒロキに問いかけられる。


「わかった……、わけを話そう……」




 22時ごろ、プロダクション・サニーピースの事務所。

そこにヒロキが通される。つけっぱなしのテレビには歌番組の映像が流れていた。そして、鷹尾はヒロキに事情を説明した。


「交山は、私の学生時代からの一番の友人で。月村みきは、同じ音楽サークルの後輩だったんです。私たちはサークルではうだつの上がらないコンビでしたが、お互いみきの歌には励まされてきたんです。みきがプロになりたいと言ったとき、私はそれを支えたいと思い、芸能プロダクションに入社しました。交山は音楽の道を諦めて証券会社に入って、プロになるみきと、それを支える私のことも応援してくれた、心の優しいヤツだったんです……」


「でも、彼は……」


「ええ、あのような怪物になってしまったみたいですね……。ここ最近、会社をやめたって聞いてはいました。彼の暴走が始まったのは、週刊紙の報道が原因ですよね?。あの報道は、私とみきが、番組ディレクターとの打ち合わせに向かっただけだったんで、黒い交際などでは断じてなかった。交山にとっては、あの報道とそれに続くゴシップ系の配信がどうしても許せなかったんでしょう……」

 

 一連の事情を聞いてヒロキが、再び問いかける。


「みきさんは、このことを……」


「言えるわけがありません……。彼女も交山のことを気にかけてましたから……」

 

 鷹尾がそう話した直後、不意にギィ……、と扉の音がなる。そこには、悲しげな顔をした女性が立っていた。ヒロキと鷹尾は、その女性を見て驚く。


「……!?」


「みき……」


「鷹尾さん……、探偵さん……、ホントなんですか……、交山さんが、そんなことを……」

 

 鷹尾は申し訳なさそうな顔をしながらみきに話す。


「みき……、すまん……、君には聞かせたくなかったのに……」

 

 重苦しい雰囲気が漂う室内、すると、不意にテレビに速報が入り、アナウンサーが話し始めた。


「速報です。ただいま出版会社メンチラ社に、謎の未確認生物らしき影が目撃されました。未確認生物は、男性記者一名に襲いかかり、その男性は行方が分かっていません。現場は、出版会社メンチラ社の……」


 鷹尾はニュースを聞き、話し始める。


「メンチラ社は、あの報道を一番最初にやった週刊バレロの版元だ!」

 

 それを聞いたみきは、この事件を起こした者が誰かを察した。


「ま、まさか……、交山さん……!?」

 

 ヒロキはそのニュースを聞いていてもたってもいられず動きだす。


「俺が行ってきます!、お二人はここにいてください!」

 

 ガタン、と音をたててヒロキは事務所を出ていった……。



 

 どこかのビルの屋上、風がゴウゴウと吹いている。

 そのビルの屋上で、連れ去られた記者が蜘蛛の糸で宙吊りにされている。その下は、数十メートルも先にコンクリートの道があるだけだった。


「た、助けてくれ!、おれが!、おれがなにしたってんだ!、やめてくれぇ!」

 

 叫ぶ記者に近づく蜘蛛のような怪物。


「お前はなぜあんな記事を書いた……、なぜ人を貶める記事を……!」

 

 記者はそう言われると、怪物に向かって話す。


「何?、なんの記事のことだ!、おれは、読者の需要に、……読者が興味のあるものに沿って記事を書いているだけだ……!」

 

 それを聞いた怪物は怒りを隠せなくなった。


「そんなことのために……、お前は!」


 怪物は、ブチン!、と糸を切った。


「うわぁぁああ!!!!」



 

 階段を駆け上がるヒロキ。蜘蛛の怪物がいるとされるビルにたどり着いた時には、ドスン、という鈍い音が聞こえた後だった。その音が聞こえた方向に顔を向けた時、ヒロキは呆然としてしまう。


「くそっ……、なんで……!!」

 

 一方、蜘蛛の怪物は、ビルの下に落ちていった記者の亡骸を屋上から眺めていた。


「まだだ……、まだみきたちを不幸にした人間が沢山いる……!、みきたちのために、俺がやらなくちゃいけないんだ……!!」


 そう言った直後、ヒロキがビルの屋上にたどり着いた。ヒロキは、いつもの穏やかな表情から一変し、目の前の怪物を睨みつける怒りの形相へと変わっていた。


「……たとえ、……たとえ、大事な人のためだとしても……、アンタは越えてはならない一線を越えた……。アンタは……、俺が止める……!」

 

 ヒロキがそう言った直後、眩しい光がその体を包み込み、その姿をギヌスへと変えた。

 そのまま怪物と睨み合うギヌス。蜘蛛の怪物は唸り声をあげながらジリジリ足音を立てギヌスに近寄る。そして、口から糸を吐き、ギヌスの首を絞めつける。


「ぐっ……!!」


 苦悶の声をあげ、蜘蛛型怪人の糸にゴロゴロと引き摺られるギヌス。


「お前も邪魔するなら、俺が倒す!」


「もはや完全に新人しんとと成り果てたか……!、貴様!」

 

 ギヌスは糸を掴んで、首に巻き付いていた糸をブチブチと力いっぱい引きちぎる。


「くっ……!」


 糸を完全に引きちぎられる怪物。

 ギヌスは剣を召喚し、蜘蛛型怪人にむかっさ思いっきりをそれを振り下ろす。


「グギャアア!!」


 怪物は片腕を切断され、苦しげな声をあげた。ギヌスはさらに剣を振り下ろそうとしたが、その直後、


「もう……、ダメか……」

 

と怪物が言い、口から血を吐いた。そして、ペッ……、と舌らしきものを吐き出す。


「何をするつもりだ……」

 

 怪物にそう問いかけるギヌス。怪物は苦しみながらも話す。


「お前の言う通り……、俺はやりすぎた……。薄々分かってたんだ……、俺は、もう取り返しがつかないって……。頼む……、鷹尾に……、みきを、幸せにして……、くれ……、と……」

 

 それを聞いたギヌスは剣を振り、怪物の頭を切り落とした。怪物の体が倒れると、それは徐々に泡のように変化していき、やがて溶けるように消滅していった……。ギヌスは、そこに残った人型のシミを長く見つめていた……。



 

 数日後、サニーピースの事務所にて、テレビのニュースが事件を報じる。


『連続配信者殺人事件の犯人は、メンチラ社を襲撃した怪物と見られており、怪物は……』


「そうですか……交山はそんなことを……」


「えぇ……」

 

 ヒロキは鷹尾に交山の最後の言葉を伝えた。


「あいつのやったことは許されることではないが、私はあいつの分までみきを支えてやりますよ……。今回は、ありがとうございました……」

 

 そう言って、鷹尾はヒロキに頭を下げた。

 しばらくして、事務所を出たヒロキ。大通りでは、街頭のテレビが、ワイドショーのニュースを報じていた。


『やはりこの件に関わってるってことは、やはり針井さんの噂は本当だったということに……』

 

 ヒロキはそれを複雑そうな顔で眺めていた……。

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