「ええー、怖いよね」のその先
- ★★★ Excellent!!!
この小説に出てくるエピソードは、生きていれば数回は耳にする話。聞いたことがある話。
学校の休み時間、帰り道、宿泊訓練。友達同士で話をする。
「こんなことがあったんだって」
「ええー、こわーい」
そしてお約束のように騒いで、なにもなかったかのように、
「じゃあね」
「またね」
となる。
でも、この小説はそこで終わらない。終われない。主人公、碧さんの呟きが入ってくるから。非常に落ち着いていて、まるで日常風景の一部でもあるかのようなコメント。そこで思う。
「なにこれ? もしかして……実体験?」
そして、どうやらこの碧さん、作者さん、らしい。だって名前が似すぎてる。
それに気づいた時、全身にぞわっと鳥肌が立つ。変な汗が出る。だってもしそうなら自分の後ろにも、横にも、いるかもしれない。
ただ、見えていないだけ。
ねえ、一言言わせて。
「こえええええええんだよおおおおおおっ!」