人が、絵画が、世界が、生きている

約七千字という短編のおはなしなのですが、この作品には非常に濃厚なドラマを感じました。

「私」こと主人公の矢代幸雄が松方幸次郎に連れられて、パリ郊外にあるモネ邸におもむきます。
クロード・モネといえばやはりかの有名な睡蓮の絵を連想するかと思います。
ここで出てくるモネは晩年の老人でありますが、しかしキャンヴァスに向かうことを続けています。
ここで「私」はとある違和感を抱きつつも、まだ駆け出し者の「私」が物申すには「勇気」が必要で……。

さて、このエピソードにたどり着くまでも様々な場面が描かれています。
八代と松方、モネ邸での三人。どの場面でも登場人物が生き生きとし、これは創作ではなく本当にあったエピソードのように感じます。そう、それぞれのキャラクター性がとても丁寧に描かれているのです。

この素敵なおはなしにぜひ、触れてみませんか……?

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