キャッチコピーの切れ味に震え上がる、人怖ホラー!

 この作品ははたしてフィクションなのか?
「あくまでフィクション」なのか?
 そんな不安が長々と不穏な余韻を残す、傑作短編ホラーでした。
 家庭ゴシップ系の話題というのは一定の需要があるもので、妻がメシマズ過ぎて……の漫画が先ごろコミックス化されてその続編も公開されたり、古くは●ちゃんねるの家庭板などさまざまな人間模様があったものでした。
 しかしこちらのお話は、「そういう家庭もあるかもしれないけれど、滅多にないよね!?」と戦慄することしきり。私が知らないだけで、日本のどこかにこういう家が本当にあるのではないか、という手触りがあるのが、すごく……嫌です。
 何でしょうね、とても美味しいけれどすさまじく苦い濃縮コーヒーを出されたような、そんな気分でした。バニラアイスがあればちょうどアフォガードできるけど、甘い物はない! この磨き抜かれた卑近なおぞましさ、最高です。

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