ゴミ
白川津 中々
■
皆、腹が出ている。
世の中無差別に喰らい、それを当然として品評し、あたかも食通であるかのように講釈を垂れる人間ばかりだ。物の味など分からぬくせに何を語る。滋養も奥行きもない、彩りだけ塗り固めた粗末な餌以下のゴミを貪っている分際で。貴様らのおかげでゴミだらけだ。もはや現代に食はない。ゴミをテーブルに並べて、お召し上がりください。いただきます。そんな悍ましい形骸文化が残っているだけだ。
ゴミを尊び、喜びながら口に運ぶ蝿どもの、腹ばかり出て身にならぬ物を好む悪食どもの垂れ流す糞がまた世に流れ人の口に入っていく。それがどれだけの罪か分からないのか。分からないだろう。分からないから腹ばかりが出ているのだ。そして私も腹が出てきた。ゴミしか食えぬから、ゴミしかないから。私ももはや罪人だ。
みんな、ゴミに埋もれながら、ゴミになりながら死んでいく。私もゴミだ。掃き溜めに蠢く虫に劣る、価値のないゴミだ。私も皆も、ゴミなのだ。ゴミとして生き、死んでいくしかないのだ。どうしてこうなったのか、ゴミの私には、分からない。
ゴミ 白川津 中々 @taka1212384
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます