倫理とは限りがある存在だけに必要なモノか?


 人間の「再生」「循環」がシステム化された近未来。
 そんな世界の「需要」の為に、青年は仕事に加わるわけですが……


 タグに「特殊な人向け」とあるように、この作品は「倫理」が希薄となった世界を舞台としています。

「肉体と精神の分離に成功し、かつ自由に組み替えられるようになった」とでも呼べばいいのでしょうか。
 淡々とした雰囲気ではありますが、書いてあることはハチャメチャなわけです。

 生に限りがあるから、人は互いに秩序や協定を作る。それが倫理であるというなら、限りのない作中世界においては、どうなるのか。


 前半はシステムやそれによって発生した社会的な影響(マクロ視点)を説明し、後半で個人レベルの感情や行動(ミクロ視点)を示しています。

 雰囲気を保ったまま、無理のある(はずの)話が無理なく進んでいく様が美しい一作です。