第3話
「長、こっちです!待たせてすまんな!連れてきた」
ネイトと共にいかにも長らしい見た目の男性がやってきた。
少しだけグレイシアはフードを目深く被る
「おおぉ...ようこそ旅のお方々...このような辺境の村にようこそおいでくださいました。」
「きみが...ごほん、あなたがこの村の長でしょうか?初めまして。私はグレイシア、向こうの男は私のつれでアインと言います。」
「旅の途中でこの辺りを歩いていたのですが偶然そこのネイトと出会いまして。何分不躾なお願いにはなりますがこちらで1晩泊めて頂くことは出来ますか?」
「お話はネイトから聞いております。何も無い村ですがどうぞ体を休めていってくだされ」
「ありがとうございます」
「ネイト、客人を小屋へ案内を頼んでもいいか?」
「わかりました長、グレイさん、アインさん寝床になる小屋に案内するよ」
「アイン、着いてこないと置いてくよ」
「すぐ向かう」
子供たちに張り付かれているアインに一声かけるが子供たちはなかなか離れようとしない
「えー!お兄ちゃんもう行っちゃうのー!」
「もっと遊んでー!」
「(コクコク)」
「こーら!ちびっ子達、お客さん困ってるでしょ!さぁ離れた離れた!」
ネイトの実力行使(剥がし)でようやくアインが戻ってきた、「これは手を貸さなかった報いだ」と言われ軽く小突かれた。
「とりあえず簡素だけどベッドと明かり用のロウソクは置いてある。着火剤はいるか?」
「いや、問題ない」
「そうか、他必要なもんがあれば言ってくれよ。用意できるものならな」
案内されたのは村の外側に位置する場所にあった小屋だった。来客用の小屋だろうか?簡素な作りで中はベッドと小さな机、ロウソクだけという最低限のものだけだったが雨風は問題なく凌げるだろう。
「ふむ、まぁ特別必要なものはないかな」
先程目深く被ったフードを脱ぎベッドに体を預け座る。
「アイン、飯の用意を頼む」
「...量が量だ、村の連中に分けるぞ?」
「まぁ私は寛大だからな、卑しく1人で食いつくそうとはしないさ」
案内が終わって戻ろうとしていたネイトを呼び止めアインを調理場への案内とグラスボアの肉を村にくれてやると言うと驚きつつ喜んでいた
「え!?いいのか!」
「構わないさ、私たちだけで食べるよりみんなで食べた方がいいものだよ。」
「す、すぐに調理場へ案内する!村の連中で手を貸してくれるやつも一緒に声掛けてくる!」
少しテンションがあがりつつアインを連れ小屋を後にするネイト。
見届けたあと腰に装備していた本を取り外しパラパラとめくる。
もう既に何度も、何度も見返した本だが完全に把握したとは言えない。
この本は悪魔達から貰った本、魔女として生きていくための本である。
これを読み解けるのはそれこそ私が『魔女』では無く完全な『悪魔』になった時であろう。
外から騒がしい声が聞こえてくる、今夜は宴にでもなりそうだ。
今を生きる魔女 シアン @greibsian6
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