愛しみの亡者は永久に騙されるぞ

実際にありそうに思える御伽噺のような作品。
書き出しがいい。
表現が上手い。
「人を惑わすような甘い香り」これが、反魂香の香りなのだろう。
新妻が入れてくれていた甘いお茶も、反魂香から作られたと推測される。

様々な昆虫や動物を利用して種子を遠く運ばせ増やすように、返魂樹も主人公を利用して反魂香を世に広めながら自分の数を増やそうとしていると考える。
反魂香で死者に会う場合、本当の死者ではなく、当人がもっている記憶から返魂樹の妖術が生み出した偽物と邪推する。
主人公の新妻は本当に返魂樹になったか。
おそらく違う。
ゆえに主人公は、返魂樹に利用されているのだろう。

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