毒百合、そして他にない独百合

何とも残酷な、毒のある真実「も」描き出す描写。
人の揶揄いの目や、主人公やヒロインの「イタさ」のようなものまで描きこんでいる分、ごまかしが無く。その中で感じられる情念というか複雑な感情は、毒百合でありながら「これぞ、百合」と言っていいのではないでしょうか。
ラブラブなだけではない、恋愛だけではない、ピュアなだけではない、執着のようなものが描かれた、なんともいえない魅力のある作品です。
憎しみであっても女性が二人いれば百合に含む、という話があります。「ただの憎しみ」を百合に入れることには私は躊躇しますが、この作品は、負の感情も含めたうえで相手への執着を繊細に描いた、「完全なる百合」です。
選ぶ題材も他にないもので、独自性が群を抜いています。
「毒百合、そして、独百合」。
殺伐百合がお好きな方にもお勧めしたいです。

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