第21話 終章

「こうしてお姫様は、好きなひとと結ばれ、幸せに暮らしました」

「よかった。蜂のお姫さまのお話、大好き」

「あなたは本当にこのお話が好きねえ」

 毎度うっとり同じ感想を述べる孫に、祖母はころころと笑う。

「私も、好きなひとが欲しいの」

「おやおや」

「だって、綺麗な着物を着ることができるじゃない」

 祖母は孫の言葉に目を見開き、大きな声で笑った。

 そう、彼女の従姉妹、自分にとっては別の孫が、先日見事な婚礼衣装を纏って嫁にいったのだ。そういえば目を皿のようにしてこの孫は見入っていた。

 同時にその衣装を持参した青年を思い出した──棍を携えた黒髪の青年は彼の祖父には似ておらず、祖母の面影が大きかった。

「おばあちゃん、あのおねえちゃんの服とか、お母さんの婚礼衣装とか、おばあちゃんのお友達が刺繍したんでしょう?」

 あの素敵な服、私も欲しい私も着たいと孫はおねだりする。

「そうねえ。あなたが年頃になって私がまだ元気で、私の古いお友達がいいよって言ってくれたら頼んでみようね」

「絶対元気でいて、奈瑠おばあちゃん!」

 祖母は微笑みながらうなずいた。




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皇女、演武会の褒美となりて降嫁す 〜オオキバドロバチの婿取り〜 前原よし @yoshi_maebara

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