百年後の皆様へお願い
前略
百年後の皆様、
先日、拙作『天狗先生は甘々で幸せな結婚生活を送りたいので山で美女を拾いました ※長いので以下『甘々』と表記』を出版社に持ち込みましたところ、低俗な駄文と
結局、お堅い物語を一つ書き上げて、無事作家生命を繋ぎ止めましたが、私はこの『甘々』にも、日の目を見せてやりたいのでございます。
さて、この手紙の下に、原稿を収めた箱がございます。
出版社の方が仰るには、拙作は斬新に過ぎ、「百年早い」のだそうです。
それならば、百年後の皆様に拙作の優劣をご判断いただきたく、このような手紙を
私といたしましては、主人公いとが飾り気のない会話調で語るという形式や、一見して内容がわかるあらすじのような題名が、とても気に入っているのであります。
百年後の皆様の目には、どのように映りますでしょうか。
……ここまで、あたかも自信過剰な女のように
ですからどうか。どうか、『甘々』を流行らせてください。後生ですから。あ、多分もう私はお墓の下だと思うのですが。
失礼、文が乱れてしまいました。
どうか未来の皆様のお心に、『甘々』が何等かの良き足跡を残してくれますようにと祈りつつ、筆を置こうと思います。
百年後の世界が、幸福で溢れていますように。
草々
1923年1月某日 大迫澄
天狗先生は甘々で幸せな結婚生活を送りたいので山で美女を拾いました 平本りこ @hiraruko
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