黄昏のレナータ

この世界にはかつて、現代を超越する化学と技術が存在していた。
それは現代に【古の技術(シンギュラリティ)】として、【未知の現象(アノマリー)】として残存している。
どれもこれも今ある化学では解明出来ない、放っておけば何が起こるか予測もつかない。恐ろしく、奇怪で忘れ去られた"モノ"達。

――そんな異常な存在を内密に処理し、管理する組織があった。

海洋学を用いて世界の海を観測する研究機関【Whale watching】世間では表向きにそう呼ばれていた。その裏で彼等は人々の目を欺き、誰からも賞賛されることも無く、時にはその手を血に染めて、不可思議な事象を淡々と処理していく。
現代を観測する"鯨達"は、密かに平和な世界を維持するべく、未知なる存在を回収し、己の腹の中へ隠遁させるのだ――