「鍵を差し込んでエンジンぶるぶる変身する。というダサカッコいいシーンが浮かんだのがこの作品のイメージ発端」(作者談)
ひらがなタイトル『めかまじょ』もあえての表記で、80年代の匂いプンプン漂わせた、面白いギャクと脇役、懐かしいオマージュの潜伏、カッコいいバトルシーン、主人公の美夜子ちゃんのちょっとズッコケ元気高校生ライフ、と目白押し。
ギャグパートから一転
彼女の生い立ち。何故、誰の手や考えによってそうなったのかが綴られていく。
機械の身体で血が通ってないわけだが、彼女を知る為、ひいては物語の骨と肉にとなり厚みを持たせる重要な部分、血脈だ。
でもギャグと掲げるこの作品の宣伝としてこれをクローズアップしたら足を引を引っ張る行為なのでは? とも思ったが……否!
サン=テグジュペリ氏は砂漠が綺麗なのは井戸をかくしているから と言った。
主人公は生い立ちに、心に、悲しみを秘めているから、『めかまじょ』は爆発的にエンジン全開で面白いのだ
糖衣に包まれた、みんなの元気の活力ビタミン小説、ぜひ一緒に楽しもう!
キャラも立っていて魅力的だし、ストーリーにも引き込まれる。
ギャグも面白いし、泣けるシーンもたくさん。
さらに文章も読みやすく、読者に全くストレスを与えない。物語に集中させてくれる。
とにかく非の打ち所がないというか、完成されている作品です。
女の子主人公で、しかも未来が舞台なのに、どことなくレトロななつかしさというか――誤解を恐れず言ってしまえば90年代少年漫画のような安心感がある。
小説という形態で書かれているにもかかわらず、夕方の時間帯に実家のリビングでテレビアニメを見ているような錯覚に襲われるのだ。台所からは夕食の香りが漂ってくる――
ついついノスタルジックなことをつらつらと綴ってしまったが、元気なキャラクターたちと引き込まれるストーリーを堪能できるこの作品、シリアスな部分もコメディタッチでカバーして明るく気持ちよく読ませてくれる。
1話の分量にも配慮されていて、その上章の頭には毎回前章までのあらすじが記されているという親切設計。
ぜひ気軽に読み始めていただきたい!
あの日起こった 飛行機事故で
私は全て 失った
生まれ変わった 機械の体
近くて遠い 父の意志
赤い炎に 身を焦がし
世界の平和 守る者
あれは「めかまじょ」 真紅の勇士
迫力のバトルシーンと、息もつかせぬ展開で読者を魅了する、機械×魔法少女×バトルの傑作です!
見どころは盛りだくさんで、単なるバトルものに留まらない、しっかりしたストーリーは読んでいて飽きさせません。
学園シーンで描かれた日常の一コマも、その後の心理的な描写も……ギャグだけでなくシリアスな側面から見ても名作と断言できます。
キャラクターへの愛が詰まった、魅力あふれるこの作品を、是非ご一読ください!
メカな魔女、でその名も「めかまじょ」!
同じ作者さんの別作品のスピンオフらしいですが、私はこちらしか未だ見れていないので単品での感想を。
飛行機事故に巻き込まれ死に瀕した女子高生「小取美夜子」は、実の父の手により「めかまじょ」へと生まれ変わることで一命をとりとめた!
彼女はさいたま新都心の平和を守るべく、今日も精霊魔法で悪と戦うのだ――!
――と言ってしまうと嘘ではないけど本当でもない塩梅。
本作では命を取り留めるために「めかまじょ」として生まれ変わらざるを得なかった美夜子の心境や内面が細やかに描かれ、軽快な痛快娯楽活劇であるのみならず、美夜子の葛藤やわだかまりを解きほぐしてゆくのであろう、繊細な物語としての一面も併せ持っています。
2023/1/30現在、もう一人の「めかまじょ」宮本早苗も登場し、そろそろあらすじの内容へと本格稼働してゆきそうな塩梅。
ギミックこそメカニカルながら、筋立ては割とご近所でちいさくまとまっている本作がいかにして世界規模まで話を拡げてゆくのか。私的には美夜子の心境や、気風のよさげな早苗との関係性に注目しつつ、追ってゆきたいと思います。
以下、完全に個人的な感想ですが――
本作、読んでいてなんとなーく「ARIEL(笹本祐一作/ソノラマノベルズ刊)」が脳裏をよぎるなどしていたのですが……うまく言えないのですが、レトロフューチャー?
というと意味が変わってしまうのですが、一昔前のOVAにありそうなコミカルSFっぽさというか、そういう空気を感じるのかもしれません。
正直その手合いに精通している訳ではないので、自分のイメージによるところが大きい感覚なのですが…
まるで80〜90年代の古き良きアニメを思わせる本作。個性豊かなキャラクターが入り乱れ、笑いあり涙ありバトルありの賑やかな展開が楽しめます。雰囲気的に【新しくない方の】うる星やつらを思い出しました。
とはいえ、メカな魔女に変身する主人公・小取美夜子ちゃんには悲しい過去があるんです。
冒頭の軽快なノリから彼女の過去編は『オゥ……』と思わせる悲しさがありますが、それは必要なものであって彼女の明るいキャラクターの裏付けでもあるのです。
現在新キャラの超癖強関西めかまじょ・早苗ちゃんも登場して、本作の魅力であるわちゃわちゃ楽しい勢いのある面白さにも加速がかかってます。
そんな芯のある、面白おかしく、そして熱くて楽しい作品です!
まえがきじたいにスピンオフと書いてありますが、こちらの作品から読んでいます。
スピンオフなので、初回から展開が早いのですが、この作品から入った私でも十分に理解できる話の流れなので、とても読みやすく楽しませて頂きました。
最初にレポーターが面白いな、と思って読み進めていると、次はカメラマンが辛辣すぎるだろ・・・となっていたのですが、語り手が一番ひどいという、とても素敵な流れになっています。
入りの物語の場面じたいが事件現場的なものとなっているのですが、語り手がその勢いを殺すことなく、むしろ加速させるように煽るため、読んでるうちに没入感からのめり込んでしまう作品です!