参考文献・解説
『植竹家の台所には「鬼の宿の神様」という神棚があり、空の黒い厨子が置かれている。節分の夜、鬼が逃げてきてこの厨子の中に隠れている、と考えられている。』
水野道子「鬼の宿」西郊民俗談話会 1981 p16. 採録地小平市小平町
『節分の夜、小川家では他家から逃げ出してきた鬼を迎え入れ、赤飯を炊き、酒を供えて静かにもてなす。』
水野道子「鬼の宿」西郊民俗談話会 1981 pp15-16. 採録地小平市小平町
このような昔話は別に小平だけではなく日本各地に点在するが今回は参考文献に従って場所も小平とした。
なお……。
『2月8日と12月8日には1ツ目の鬼が来るのを防ぐため目籠を門口に下げる。』
真中勝子「幸手市の年中行事(二)」1991年 pp28-32. 採録地埼玉県幸手市
『2月8日のオコトの晩には一つ目小僧が、節分の夜には一つ目の鬼が、それぞれ山から降りてくる。』
土橋里木「山の妖怪」『ひじろ』通巻11号 1963年 pp1-2. 採録地山梨県
とあるように確実にこの「一つ目」とは目に見えない者ではなくおそらく実際に居た者であろう。つまり「目籠を門口に下げる」ことで
もっとも後世になるとその意味も忘れたようだ。
『2月8日には一つ目小僧が来ると言って、入り口に目の多い目籠類や籾とおし等を下げておく。これは、人家に入ろうとした鬼がこれを見つけ、目を数えているうちに夜が明けて入れなくなって逃げてしまうという俗信からきているものである。』
秋田県編「秋田県史 民俗・工芸編」加賀谷書店 1978年 pp582-588. 採録地秋田県
つまり目籠自体に呪力を持つとか鬼よりも目が多いことで脅すという俗信が広まったということである。籠目紋は六芒星の形になることから魔よけの力を持つと信じられてきた。だがよく考えてほしい。一つ目小僧のルーツはたたら製鉄者であることを。そこで筆者は考察した。そもそも目の数を多さを気にさせるということ自体がたたら製鉄者に対する嫌がらせなのだということに。
そしてこれらの参考文献をもとに舞台は小平ということにして創作昔話を完成させることが出来た。
また「鬼は内、福は外」の説話では節分の日に困窮した爺があまりの切なさに「鬼は外、福は内」という掛け声を逆にししたら鬼たちが集って鬼たちがご褒美にと虎のパンツを授けたり小判を授けたりする説話群もあるがそれらの説話群は今回小判を置くという部分以外の点に置いて参考にはしなかった。
次に本作にも登場した竈神社について。竈神社または竈門神社とは単に竈の神様ではなく薪売りの神様というだけでもなくたたら製鉄技術者にとって大事な神様を祀る神社であります。同時に山岳修験道のための神社でもあり修験道者も鬼とみなされることから「鬼」とかかわりの深い神社です。しかし同時に鬼を封じる神社でもあり矛盾してる存在でもあります。
鬼は内、福は外 らんた @lantan2024
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