ざくろ、そのグロテスクな果実を

 一応ジャンルはSFになると思います。
 人工臓器の移植が認可された時代。

 が、そこに描かれているのは、ある女性の過去への悔恨なのか、はたまた懊悩なのか。
 人工臓器にまつわるSF的な急展開から、文学的な急展開があとにくる構造には、はっとさせられます。
 有り得ないもののあとに、さらに有り得ないものがくるのですが、そちらはよくある話にも思えて……。
 読者を強烈に打ちのめす、左右からのフックを綺麗に決められた印象。SFと文学の、ぎりぎりの線での折り合いが、なんともいえない読後感を与えます。