瑞々しい文体で描かれる柘榴の実

素晴らしいの一言です。
この様な美しい物語をお書きになる方が、カクヨムには、まだまだいるのですねえ。ネットは広大です。

さて、私の馬鹿馬鹿しい感慨はこのくらいにして、僭越ながらレビューをさせていただきます。

まず何よりも文体が素晴らしい。その瑞々しい文体は、噛めば噛むほど果汁が溢れるようです。決して万人受けするような、いわゆる"美しい物語"では無いのですが、この魅力的な文体により、作品全体を通して、なんとも言えぬ不思議な甘みがあり、読後感がとても良いです。

しかし、それだけでないのが本作。、何か心に引っかかるような、それこそ柘榴の身を齧った時の渋みというか、えぐ味というか、そう言った後味がある、とても味わい深い作品でした。

はっきり申し上げて、名作です。