重厚感溢れる大人の魅力が詰まった王道ファンタジー

最新話まで拝読してのレビューです。

本作冒頭を拝読して、真っ先に思ったのが、文章が硬質かつ丁寧で、その舞台も古典ファンタジーらしくしっかり設計されています。

目下の流行り要素はありませんが、主人公リアムには隠された秘密があり、交易商を営みつつ、厄介事に巻き込まれていきます。
襲われていた皇女サラを助けたところから物語が動き出すわけですが、この辺の要素はいかにもファンタジーらしいですね。

タグにもあるとおりSFも盛り込まれ、さらには戦闘で出てくる武器等も素晴らしいものがあります。

幾つか例を挙げると、制御装置の名称にバラモンの祭壇、戦略環境改変兵器(オーグメントサイクロトロン)の基盤名称が羅刹陽炎の剣(マリーチ・ラクシャス)とか、ネーミングセンスも素晴らしいです。

もともとゲームがベースにあったという本作です。戦略シミュレーションゲームの舞台を俯瞰しているような気にもなります。

そういった意味でも、とっつきにくさをできるだけ緩和したバランス感覚が本作には感じられます。

ターゲット層はやや上の世代となると思いますが、若い読者にもぜひ手に取ってもらいたい作品です。