大人のファンタジー!

 とにかく主人公がカッコいいです。
かのポルコロッソ(紅の豚)が格好良いとはこういうことさとカッコよくキメたように、主人公リアムがシブくてカッコいいんです。

 交易商として生計をたてながらも元〇〇的な過去を持つ彼は戦闘においても強くて、そしてレディーに優しく紳士的なカッコイイおっさん。(おっさんは褒め言葉)

 彼が何者かに襲われていた皇女・サラと出会うことで運命の歯車は動き出す……という王道ファンタジーな始まりですが、リアムは特にチート能力など使わず、経験と実力に裏打ちされた強さで敵を排除します。そこがいいんです。
 安易に『凄そうな能力』に頼らず、鍛錬と経験によって得た力で戦うところがいいんです。それはこの物語の全体に言えることだと思います。

 もちろんキャラクターに頼ることなくファンタジー世界の構築も見事で、丁寧な情景描写は夜明け直後の森の空気や夜の街の喧騒、武器屋の機械油の匂いなどを感じさせる、緻密でいてクドくない、質の高い空気感を表現しています。
 ちなみにこの武器屋の職人と魔道士(?)も渋くて味があって、いいんですよ…。

なんでこういう作品がもっと表に出てこないのか不思議でしょうがないですね。この作品を読めば、私と同じような気持ちになるはずです。

渋い大人達が織りなす珠玉のファンタジー。絶対にオススメです!

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