最後までブレない「強さ」!
- ★★★ Excellent!!!
リュシュくんは転生を二回済ませた転生者です。
ただ、最弱、なんですよね。
前世はドラゴンなんですけど、今世ではどんだけ努力しても魔法も使えなければ身体も貧弱なまま、背も低い。
まぁ俺だからしょうがないよね。
みたいに、全てを受け入れて諦め気味。
婚約者からも「自分よりも弱い人は嫌」みたいな感じで婚約破棄を言い渡されます。
それすらも「仕方がない」と受け入れます。悔しさを滲ませながら。
しかし、それをきっかけに強さ至上主義の国の中でも最強の職業「竜騎士」になる為に王都を目指すんです。
もちろん「周りを見返してやりたい」的な動機もあるのですが、それよりも、幼い頃に出会った「特別な存在」にもう一度会いたい、という真っ直ぐで素直な気持ちから、明らかに無謀、と思われる困難な道を選びます。
リュシュくんは、今の自分に出来る事、弱っちいながらも、今まで積み上げたもので奮闘し、それなりの結果も出したんですけど、その結果は不合格。
はい、ここまで読んだ皆さん、お分かりですよね。
リュシュくんは——、
冴えない主人公。
で、あります。
でも冴えないリュシュくんのひたむきさに、理解を示して応援してくれる人達も出てきます。
周りから尊敬されるような「特別な能力」も産まれながらに持ってはいるんですが、それも元竜である「竜人」達が当たり前に持っている程度のモノ。
ですが、その技能を活かしながら、不器用ながらも「夢」を目指すんです。
精一杯積み重ねた「報われない努力と思っていたモノ」でも、キチンとした結果を残す事が出来るという手応えから、「あきらめない男」へと成長を遂げてます。
順調に努力が報われ始め自信も着いてきたリュシュくんに、夢へと繋がる大きなイベントが提示され、リュシュくんはそれに挑むのですが……。
せっかく今まで渇望していた「力」を手にしたリュシュくんですが、キッカケがキッカケなので、思い悩み、葛藤し、苦しみます。
ですが、そんなリュシュくんを支えたのは、「日々を精一杯生きる人達」と、それらも含めた「全てを守りたい」という、
強い気持ち、
でした。
再び奮い立つリュシュくん。
自分が足踏みしてた間に努力を続けた仲間達の方が、「力を手に入れた自分」よりも、強いです。
ですが、そんな「冴えない自分」だからこそ、その努力を認めて集まってくれる人達こそが、リュシュくんの
「本当の、強さ」
なのでしょう。
世界を変えるような「絶対的な力」など持ち合わせてはいませんが、それでも「皆んなを守りたい」という強い気持ち。
周囲から「無謀」と云われながらも竜騎士を目指した「強さ」も健在、です。
そして、二つの国を救う為にリュシュくんは、大きな戦いに身を投じるのでした。
冴えなくても「頑張れる」。
自分の能力ではなく「その人柄に集まった仲間達」。
「達成困難な戦い」に立ち向かう。
ずっと想い続けて来た「自分の気持ち」に添い遂げる。
この物語には、そういう大切な事が山ほど詰まっています。
さらに「努力の過程」の間にも、ツラい事や「嬉しい事」があり、それらが最後まで「この物語の大切な部分」として機能しています。
面白いです。
皆さんも、是非手に取って、読んでみて下さい。