終戦直後の日本。腹上死のようなかたちでの殺人事件。失踪した不和の娘。

 時代は終戦直後の日本。ヤミ市がはびこっているような頃です。
 戦後の成功者である、ヤマボシ製薬の創業者が殺されます。
 幼い妾(めかけ)を囲えるような金持ちではあるが、尊敬できる行いをしているとは、とても言えない男の、腹上死のようなかたちでの殺人事件。
 そして、置手紙を残して失踪した、その男の娘。
 時代背景とも相まった、深い闇をときあかしていく、この作品。
 作者さまの巧みな筆致に、事件の謎にのめりこみそうな予感がします。

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