壱『神戸街歩き』

 まずはコチラの古地図をご覧くださいませ(カクヨムの仕様上、直接画像を張り付けられないため、リンクでご容赦ください)。



↓明治時代の兵神(兵庫県神戸市)市街の図

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650063692839



 注釈はSUBが入れております(改変したことを明記していれば、改変・掲載自由なコンテンツです)。


 Googleマップなどで神戸JR三ノ宮駅周辺をご覧いただくと、多少向きは違いますが、JR元町駅や外国人居留地、生田神社などの配置が現在とまったく変わっていないのが分かるかと思います。

 特に外局人居留地は、番地の番号まで百年前と変わっていません!


 さて、『腕を失くした璃々栖』の物語は冒頭、被害者女性・真里亜マリアが住まう北の異人館通りのとある洋館から始まります。

 地図の右端にある『真里亜の屋敷』の場所ですね。

 真里亜の屋敷の屋根には風見鶏が留まっておりまして、これは北野異人館の『風見鶏の館』をモデルにしております。

 実際に、璃々栖たちと一緒に行ってみました。



↓風見鶏の館

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650297764745



 この館は史実では1904年に建てられたものであり、本書(1903年)時点では未建設または建設中なのですが、そこはフィクションということでご勘弁を。


 物語では、ここから主人公・皆無かいなが魔術の力で北野坂を駆け下り、フラワーロードを走り抜けて『海岸通り』に至るのですが――おや?





璃々栖「皆無かいな! かーいーなッ! さっさと歩かんか!」


皆無「痛ッ! ったく、足癖悪いお姫様やでホンマ」


璃々栖「さて、ここからはと皆無で解説するぞ。次はいよいよ『海岸通り』! 予と皆無が出逢った場所じゃ!」


皆無「せやな。ここ、『風見鶏の館』から『北野異人館通り』を西へ行き、『北野坂』を南下するとJR三ノ宮駅が見えてくる」


璃々栖「あの、國鉄三宮ステヰションか? 販促短篇(https://kakuyomu.jp/works/16817330649994499792)で予たちが大悪魔グランドデビルケルベロスと会合した?」


皆無「実は、ちゃう。1903年当時、JR三ノ宮駅は存在しとらんくて、代わりに現在のJR元町駅が三宮駅って呼ばれとった」


璃々栖「ややっこしぃのぅ」


皆無「線路を超えると、『外国人居留地』の東端『フラワーロード』に出る。ここはもともと『生田川』があった場所で、居留地整備にあたって川をより東側へ付け替えてん」



↓フラワーロード

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650297938026



璃々栖「川を、付け替える!? 人間もなかなか悪魔的な所業をするのぅ。ぬぉッ、何じゃこのムキムキなじじぃは!?」


皆無「俺にも分からん(白目)。けど神戸って、なんかそこら中に裸像・裸婦像が立っとるんよ」



↓老人像

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298049638



皆無「お、海岸通りが見えてきたで」


璃々栖「はぁっ、はぁっ、かい、な……そなた歩くのが早いぞ!?」


皆無「あはは、なまっとるんちゃう? よかったら俺が運動に付き合ぅたるで、ほら、今夜さっそくベッドの中で――ぎゃッ!?」


璃々栖「まったく、助平小僧めが……ん? 何やら中空に橋が架かっておるが」



↓海岸通りに至る

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298130755



皆無「『歩道橋』っていうらしい。上がってみよか」


璃々栖「――あああああッ!! ここ! ここじゃァ!! まさにこの交差点のど真ん中で、予はそなたと出逢ったのじゃ!!」



↓海岸通り

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298222129



璃々栖「じゃが、当時は海岸通りの先などその名のとおり海岸しかなかったはずじゃが」


皆無「この百年以上の間に、埋め立てられたらしいで」


璃々栖「通りも、すっかり舗装されてしもぅて。当時はただの土くれだったというのに」



↓続・海岸通り

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298302315


↓明治当時の海岸通り

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650071718852



皆無「海岸通り沿い――つまり外国人居留地の南端を西に歩こか。あ、ほら。『海岸通』ってあるで」


璃々栖「ホントじゃァ!」



↓『海岸通』の標識

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298369022



皆無「そしてここが、本書の第弐幕、11月9日の戦闘中に俺が看板を踏み台にしたり、『終幕』で一緒にお祝いした『オリヱンタルホテル』があった場所」


璃々栖「……ないのじゃが?」


皆無「うん。1964年に居留地の25・26番地に引っ越してんて。お次が――…ん、何?(SUBからカンペを渡される) えーと何々、

『海岸通りのオリヱンタルホテルは明治40年(1907年)竣工。1903年の本書に海岸通り沿いのオリヱンタルホテルが存在するのはフィクションです』

 やってさ。相変わらず細かいやっちゃで。ついでに現在のオリヱンタルホテルも見て行こか」


璃々栖「でっっっっっっか!? たぁっっっっっっっっか!?」



↓現在のオリヱンタルホテル

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298420232



皆無「あはは。俺らが知っとるのはこっちの方やからなァ」



↓明治時代のオリヱンタルホテル

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650072490759



皆無「そんで、これがかの有名な居留地15番館で――」


璃々栖「――ヒィッ!?」


皆無「ん、どないしたん?」


璃々栖「ななな何じゃこの奇怪な像は!?」


皆無「ヒッ!? か、カボチャ……ハロウィン?」



↓謎のモニュメント

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298460635



璃々栖「な、なんと悪魔味デビリズムの溢れた……ん? おお皆無や、隣にはお稲荷さんがおる。阿ノ玖多羅あのくたらの名は方々に轟いておるなァ」


皆無「き、気を取り直して歩こか。海岸通りを西へ歩いていくと、やがて居留地に西橋――『メリケンロード』に出る」


璃々栖「亜米利加メリケン?」


皆無「そのとおり! ほら」


璃々栖「これは――」



↓神戸メリケンビル

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298521466


↓同ビルの看板

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298609624



璃々栖「はは~ん。アメリカ領事館があったから、『メリケンビル』と『メリケンロード』、か」


皆無「そう。そして、メリケンロードの南端にあったのが『メリケン波止場』。けど今は無いなってて、代わりにあるのが、巨大な埋め立て公園『メリケンパーク』や」



↓メリケンパーク入り口

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298664182



璃々栖「な、な、な!? 海上に陸地があるぞ!?」



↓メリケンパーク

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298866882



皆無「ほな居留地に戻って、ちょい北上するで。ほら、左手――西を見れば、南京町や!」


璃々栖「あー。当時、大清帝国は大日本帝国と通商条約を結んでおらなんだから、居留地に入れなかったんじゃな。じゃから、居留地のすぐ外に住み着いた。中華の血脈は何処に行ってもたくましいのぅ」



↓南京町

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650298979514



皆無「さらにもう1ブロック北上すると、ほら」


璃々栖「おおおおおッ!! 元町! 元町じゃァ! 懐かしいのぅ! そなたと一緒に、元ブラデヱトしたのぅ!! ほれ、このリボンも、そなたがここでうてれたじゃァ!」



↓神戸元町

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650299073726



皆無「で、視線を東に戻すと、居留地37番地が見えてくる」


璃々栖「『パリM外国E宣教会P』屋敷! 予とそなたが監禁――げふんげふん、起臥きが寝食を共にしておった場所じゃァ」


皆無「うん。――ん、またカンペ? えーと何々、

『史実では、パリM外国E宣教会Pの宣教師ピヱール・ムニクウの手による礼拝堂がありました』」


璃々栖「なるほどのぅ。それで、今はどうなっておるのじゃ?」


皆無「37番地を含めたブロックの大半が百貨店の大丸になっとるな」



↓大丸

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650299861626



皆無「37番地の東隣では、『HERMES』が38番館の看板とともに営業しとる」



↓38番館HERMES

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650299923604



皆無「さらに反対の36番地では三菱UFJ銀行が営業しとる。37番地は大丸になっとったから、残念ながら『37番館』の看板は見当たんかった。けど、大丸内のレストラン街として賑わっとるな」



↓旧37番地の大丸レストラン街入口

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650299975350



璃々栖「はーっ、よぅ歩いたのぅ。北野異人館街――山の手から海岸通りまで一気に降りて、居留地をぐるりと外回りしたわけか。さて、帰るとしようぞ」


皆無「あ……最後に行きたい場所がある。近所やから」


璃々栖「ふむ」


皆無「東隣のブロック、その47番館が――――……真里亜マリアのお父さんの店やってん。今は……『GUCCI』が営業しとる」


璃々栖「皆無……あ、ほ、本当じゃな! よく見たら写真の真ん中に『BLOCK47』とあるのぅ」



↓47番館GUCCI

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650300048872



璃々栖「ん? またカンペなのか。何々?

『47番館が武器の輸入業を行っていたというのはフィクションです。実際には主に毛織物を取り扱い輸入業を行っていました』

 まったく作者のヤツめ、空気を読めというのに。まぁ史実とフィクションを分離したがる性分は分からいではないが。

 ――ほら皆無! いつまでもくよくよしておらんで、帰るぞ! 元気を出したら、予が何か願いを聞いてやろう」


皆無「――えっ!?」


璃々栖「あっ、あんまり助平なのはナシじゃからな!? はぁ~……すぐ元気になりおってからに。迂闊なことを言うべきではなかったのぅ。

 ――ほれ皆無、JR元町駅が見えてきたぞ」





   ❖   ❖   ❖





 壱『神戸街歩き』は以上となります。

 お付き合いくださいまして、ありがとうございました!

 最後に制作秘話小噺を。



担当様「受賞者にお伺いすることになっているのですが、最近読んだラノベは何ですか?」

SUB「『坂の上の雲』です」

担当様「えっ」

SUB「司馬遼太郎『坂の上の雲』です」





   ❖   ❖   ❖





 最後の最後に宣伝をお許しください。



↓あらすじ・キャラ紹介・超豪華声優PV(特設サイト)のリンク先

https://kakuyomu.jp/users/sub_sub/news/16817330650038669598



↓特設サイトへの直リンク(カクヨムの仕様でハイパーリンク化しません)

https://sneakerbunko.jp/series/lilith/

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『璃々栖』街歩き & 設定資料集 明治サブ🍆第27回スニーカー大賞金賞🍆🍆 @sub_sub

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