静脈を泳ぐ

運歩小太郎

第1話

 この前コカイン吸った時の感想書きますね〜✌︎('ω')✌︎

 友達からコカインをもらったので、鼻から思い切り吸い上げました。

 その瞬間、僕の意識は僕の脳みその中に飛ばされました。幽体離脱してるみたいに自分の脳みその置かれた空間を上から見下ろしていました。

 僕の脳みそが置かれていたのは円形のピンク色の部屋で、部屋の真ん中に置かれた鍋には僕の脳みそが入っていました。

 それで、なんだここは、と唖然としていたら、部屋の扉をトントントンってノックして五人の小人が入ってきました。小人って言っても全然可愛くないです。顔はおじさんです。ただの小さなおじさんです。正直、気持ち悪かったです。そのおじさん小人は鍋の十分の一くらいの大きさでした。

 それから慣れた手つきで二人の小人が鍋に梯子をかけて、残りの三人が協力して部屋の隅に置いてあった電動泡立て器を持ってきました。泡立て器も持ちながら慎重に梯子を登っていって小人たちは僕の脳みそに容赦なく泡立て器を突き刺してきました。

 その時の僕は、あ、刺さったって感じで全然痛みはなかったのでいいんですけどね。

 彼らが泡立て器のスイッチを入れるとギュイーンっていう不快な機械音とともに僕の脳みそはかき混ぜれていきました。元々の脳みそのしわしわはかき混ぜられることで無くなっていって、最終的に僕の脳みそは人参スープみたいにサラサラの液体状になりました。

 次に小人たちは大きなストローを持ってきて僕の脳みそスープを飲み始めました。

 ジュルジュルという汚い音が部屋に響きました。でも、吸われるのは意外と気持ちいんですよね。不要なものがどんどん無くなって、身体が軽くなってる気がして結構気持ちいいです。

 最初こそ仲良く交代交代で飲んでいた小人たちも半分飲み終わった頃からストローの取り合いを始めました。一つの梯子に何人も乗って取り合いをするわけだから危ないぞーって思って見てました。すると案の定、一人の小人が脳みそスープの中に落っこちちゃったんです。そしてそのままその小人が浮かんでくることはありませんでした。残された四人の小人たちはやっちまったって感じで後片付けもせずに急いで扉から出ていって、同時に僕の意識も友達と元いたクラブに戻ってきました。友人は僕の顔を見ながら大笑いしてました。間抜けな顔だったようです。恥ずかしい…。ちなみに僕の脳内で起こったその出来事は現実世界からすると二十秒ほどのことだったようです。その後しばらくの間、僕は放心状態でボーッとしてました。

  

 次に僕がコカインを吸ったのはそれから一ヶ月ほど後のことでした。その間ずっと僕はスープ状になった脳みそのことを考えてました。半分残ってるのが気がかりでしょうがなかったんです。そこで、友人に頼み込んでコカインを買いました。

 前と同じように思い切り鼻から吸い込むと、僕の体はまた例の脳みそスープのある部屋に移動しました。

 部屋の真ん中には泡立て器とストローと半分残されたスープの入った鍋が放置されてました。

 あの日と変わらない光景に安心していると、トントントンっていうノックが聞こえ、ドアが開いて五人の小人たちが入ってきました。あれ五人?と思ってよく見てみると、四人のおじさんの中に里帆さんが混ざっているじゃないですか!

 里帆さんっていうのは僕の通ってる高校の水泳部のエースの女の子で、引き締まったグラマラスな体型の彼女に僕はこの人とセックスできたらどんなに幸せだろうかと常日頃妄想していました(恥ずかしっ!)そんな里帆さんがなんで僕の脳みそなんかに訪れたんだ?と思って眺めていると、彼女はおもむろに服を脱ぎ始めました。思わず目が離せなくなってしまった僕でしたが彼女は服の下に競技用の水着を着ていたせいで、残念ながらヌードは見れませんでした(泣)おじさん小人たちも期待していたのか、水着だと分かった瞬間につまんなって顔をしていたのが腹立ちました。

 そして彼女は梯子を上り、綺麗なフォームで躊躇なく僕のスープの中に飛び込みました。死んじゃうよ!と焦ったのですが、おじさんたちはこうなることが分かっていたかのように至って冷静に鍋の外の壁についているスイッチをポチッと押しました。

 すると鍋のスープがみるみる無くなってくじゃないですか。鍋の底に穴があけられたんですね。ああ、よかったと思って安心していると里帆さんや、この前落ちたおじさんの死体ごとその穴に吸い込まれてしまうじゃありませんか!空っぽになった鍋の穴をじっと見ていると僕の意識もその穴に吸い込まれていきました。

 

 その穴は静脈に繋がっていました。静脈の速い流れでも水泳部の里帆さんは溺れずに、流石の泳ぎを見せました。

 脳から心臓までは平泳ぎで、そこからはクロール、バタフライで僕の血管を気持ちよさそうに泳いでいきました(流石に背泳ぎは難しかったっぽいです)

 僕はずっと里帆さんの後ろにピッタリとくっついて、その大きなお尻をずっと眺めちゃってましたー✌︎('ω')✌︎

里帆さんが僕の身体の中に入ったという事実だけでもめちゃくちゃ興奮しますよね!!


 

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静脈を泳ぐ 運歩小太郎 @kakudegu

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