小さく切り取られた、とある瞬間の物語──これも日常だ。

題材としてはよくある物語。
しかし、その導入から没入に至るまでの滑らかな導線、
いや導火線と言ったほうがいいかもしれない──は、
綻びつつある彼らの日常の中で、
確かに今も生きているということを強く印象付けてくれる。

スコープの中の、切り取られた風景が
もう長く続いているであろう、
苛烈ながらも日常と化してしまった「今」を鮮やかに映し出す。

背景にどんな物語があるのか、そしてそれを思うと、
不謹慎ながらも高揚感さえ湧いてしまうほどの
濃密な空気感。

こんな世界が確かに存在するんだと肌で感じるほどの没入感が
短い物語の中に凝縮されています。


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