没入感がとても良い。ダンジョンに閉じ込められた後からとてつもなく面白い。読み返して面白いタイプという感じはしないが、初めてゲームをした時のような、冒険心が掻き立てられ、好奇心が無限にわいてくる。こんな感覚は久しぶりだった。
文学的な面白さを求めることはできない作品だが、人物の心情変化は非常に鋭利に描かれており、文章の表現力でなく、極限まで実際の人間の心情変化になぞられた主人公の人物としてのリアリティで読者を物語に引き込んでくる。
一般的に、リアリティの密度を上げることで人物の動かしづらくなり、主人公の特殊性が薄れ、物語を制御しにくくなるはずである。しかし、この作品での女尊男卑であったり、ダンジョンが生まれた国が9か国しかないという世界観により、我々読者にとってのリアリティと物語内でのリアリティに差が生まれ、物語内での主人公を特別にしている。
この作品は、リアリティと没入感があり、それでいて没入した際の冒険感だけでなく、本来リアリティと矛盾するはずの特別感が味わえる。物語の情景が凄みを持ち、読んだ後少しめまいがする。
結論、しゅごい
-追記-
前言撤回。読み返しても面白いことが判明。
The concept is interesting and I am curious about where the main story is going. However, there is another aspect that draws my attention more.
I think the author has a true talent for showing human interactions and complex relationships. Even though there are few characters and the story is only told from one perspective, the author is able to strongly convey the thoughts and emotions of everyone involved. It makes the characters feel like real people, which is very hard to do.
この作品の魅力は世界観の作り込みや続きの気になる展開、丁寧な人間関係の描写です。
通常は女性しか入れないダンジョンの中にただ一人閉じ込められた主人公が国や自衛隊から支援をうけ探索者として活動しています。まだ序盤なので強くなってないですしダンジョン探索も進んでいませんが世界で一人の男探索者としてどんなことを為していくのか、また当分先だと思いますが女性中心の世界観が今後の展開にどう影響してくるのかが楽しみです。
タグにある通りじわじわ進んでいますがその分登場人物たちの描写も丁寧です。辛い境遇にある主人公がやさぐれずにいるのは自衛隊の人や家族による支えが大きいです。軽口を叩き合ったり、衝突したりもしますが主人公への気遣いや心配が伝わってくるので読んでいて不愉快さは全くないです。なんなら両方に共感できます。
1話1話ボリュームもあるので読み応え抜群です。この小説で気になる点は早くに出会いすぎた関係で話数が全く溜まっていない状態で読んでしまったことくらいです。それぐらい面白いと思っているし、続きが気になるので興味があったら是非読んでください。