まるで初めて3DオープンワールドのRPGゲームをしたかのような感覚

 没入感がとても良い。ダンジョンに閉じ込められた後からとてつもなく面白い。読み返して面白いタイプという感じはしないが、初めてゲームをした時のような、冒険心が掻き立てられ、好奇心が無限にわいてくる。こんな感覚は久しぶりだった。
 文学的な面白さを求めることはできない作品だが、人物の心情変化は非常に鋭利に描かれており、文章の表現力でなく、極限まで実際の人間の心情変化になぞられた主人公の人物としてのリアリティで読者を物語に引き込んでくる。
 一般的に、リアリティの密度を上げることで人物の動かしづらくなり、主人公の特殊性が薄れ、物語を制御しにくくなるはずである。しかし、この作品での女尊男卑であったり、ダンジョンが生まれた国が9か国しかないという世界観により、我々読者にとってのリアリティと物語内でのリアリティに差が生まれ、物語内での主人公を特別にしている。

 この作品は、リアリティと没入感があり、それでいて没入した際の冒険感だけでなく、本来リアリティと矛盾するはずの特別感が味わえる。物語の情景が凄みを持ち、読んだ後少しめまいがする。

 結論、しゅごい

-追記-
 前言撤回。読み返しても面白いことが判明。

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