52、弟二人と昼食にて②
アンが信頼の意を示したとしても、警戒を解くことはない。
それを分かっているからこそ、シキュも他愛も無い会話に徹していた。
友人と姉の親密さに双子は、互いに目で押し付け合っていた。
それに気付いたアンは二人を見た後に、シキュを見るとシキュは笑んでいる。
その笑みに違和感を覚えたアンは、素直に聞いてみることにした。
「……シキュから見てどうかしら?」
「ご心配は無用。避難先にココを選んだ自身を褒めたいです」
「そう?なら……」
「……少し難しいかと、特異の察知力を発揮します」
「あらっ、難題提示感謝するわ」
「……お姉様も素直になり過ぎでは?」
「お茶を馳走してもらう仲ですもの、構わないわ」
そう言ってシキュが注いだカップから、紅茶を頂いた。
鉄壁に被っていた商人面に、少しの目の動揺の後、ヘラっと鉄壁を崩した。
シキュは商人の礼ではなく、ズボン姿だが、スカートが見えてくるような素敵なカテッシー。
「有難き、これからもよろしくお願い致します」
途端、不思議そうな目をする双子にアンは笑みを浮かべた。
アンの前では警戒心もなく可愛さを存分に表している双子は、しっかりと外交面では優秀と、商人からのお墨付き。
自身の前だけでの警戒心などを取り除いた仕様に、赤子が母にすがるような心地を感じる。
そして、二人にはアンセンサーが付いているよう。
しかも、アンが二人の外面を見ることは難しいほどの高性能センサー。
それを試すと意志を見せると、逆にアンが内面を見せていることの示唆してくる始末。
「二人の友人が貴方のような方で嬉しいわ。こちらこそ、これからは私も加えてもらえるかしら?」
「……改めて自己紹介を。シキュカンバー シガヌス。サナンタダン商会の会頭の娘です。今は学業外でスタフィシュ店にお手伝いもさせて頂いております。学園内学園外のアレコレのご要望ありましたら、喜んでお手伝させていだきたく」
ご紹介して頂いたスタフィシュ店は、星ギルドのすぐ近くにあるサナンタダン商会の星用の支店。
星ギルドの冒険者がよく行くお店。
冒険者の要望も完備した、品揃え多彩で適正価格の良店だ。
一度だけ覗くことはしたが、あっまりにも素晴らしい品揃いでそこで買い物はしないと決めた。
そんな店があれば、常連まっしぐらなのは目に見えてると。
基本、そこで買いたい物があればシェルに頼むことにしていた。
……なのに、そこの手伝い=アルバイトで商会の娘がここに……罠か、罠だろう。
ゲーム内容知らないので、悪役令嬢役を放棄します! 田子タコ @takonotako
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