これは是非読んで欲しい「歴史好き」には、たまらない一冊どころか「歴史好き」の人も作者の圧倒的な知識量に圧倒されるんじゃないかと思います。少なくとも私は「度肝」を抜かれました!
はっきり言って、ここまで「ギリシア」世界を理解して、丁寧に説明した小説ないんじゃないかな?という感じです。でも、面白いのが「こんな緻密」な「時代や場面設定」を下敷きに語られるのが「恋愛」なんですよ。
そう、恋愛なんです。恋愛がメインなんですよ。特にアフロディア姫が最高に魅力的なヒロインで、私の大好きな女性像です。自由奔放なんですが、自分の思いに対して正直で、まっすぐなんですよね。
陰謀が渦巻いたり、お互いの足を引っ張ったり、誤解して一人で悩んだり、そんなじめじめした恋愛小説なんか読むより、この小説読んで欲しいな、ほんと清々しいですから。
私がこの小説を読んで、本当に実感したのが、「社会」や「歴史」がいくら変わろうとも、人間の本質あるものは「愛」なんだなぁ。なんて当たり前のことを再認識しました。
これは「歴史小説」なんて読まない「恋愛小説」好きな女性に読んで欲しいです。ほんと「恋愛」なんて、ヒロインなんて「まっすぐ」でいいんですよ。
史実をもとにして描かれた、ギリシャの時代小説。
前時代の重厚感はそのままに、人物たちは情感たっぷりに描かれていき、史実を一切知らなくても楽しめます。そしてとても読みやすい。
初めは横文字の名前の多さに少し戸惑うものの、すぐにこれらの人物に心を乗せて読んでいけばいいのだとわかります。
物語が佳境に向かうにつれ、人物たちが織り成す親愛の情に激しく心打たれます。
それは友情であり、恋情であり、そして今の時代では馴染みのない「忠誠心」でもあります。
怒涛のように流れるシーンの迫力は、司馬遼太郎さんの『項羽と劉邦』を思い起こさせました。
『ウチのクセモノ!』と同じ作者の作品とは思えない、重厚な世界が広がっています。末恐ろしさを感じました。
心揺さぶるギリシャ戦記をあなたもぜひ。
『ギリシャ物語』というタイトルを見て、私は思いました。
「映画で見た阿部寛さん主演の<テルマエ・ロマエ>と同じ世界が舞台の物語だ!」と。
不正解です。<テルマエ・ロマエ>は古代ローマのお話です。
こんな知識レベルでも、まったく問題なく物語をお楽しみいただけます。
当時のギリシャの社会背景などは、物語と共に丁寧に説明されますので、肩肘張らず、構える必要は一切ありません。
読者は、舞台となる古代ギリシャの世界へただ身を投じれば良いのです。
そこに待っているのは、都市国家間の軋轢と陰謀、敵都市へ逃れる美しき逃亡者、その追跡劇、そして運命の出会いと身を焦がす恋…
そのすべてを本城先生は丁寧に描写されていますので、臨場感や緊張感、そして胸の高鳴りが文面からひしひしと伝わってきます。
私が好きなのは、アフロディア姫です。
初登場シーンは、正直「姫」の概念が覆されました。しかし、読み進めていくうちに、天真爛漫なだけでなく、自分の気持ちに素直過ぎるほど正直な姿に惹かれていきました。
ジャンルは「歴史・時代・伝奇」ですし、タグにも「戦記」「ミリタリー」「剣」という言葉が設定されていますが、同時に『万人向け』とあるように、特に女性にオススメしたい作品です。
古代ギリシャの恋物語、とてもステキですよ。
興味が湧きましたら、まずは読んでみましょう。
そこには、胸躍る古代ギリシャの世界が待っています。