アテナイとスパルタ──相容れぬ両国に生まれた二人の運命や如何に

自分ごときがこの作品の魅力を語るなど烏滸がましいのかもしれないが、それでも抑えきれなかったので本作の魅力について語りたい。

舞台は古代ギリシャ──ペロポネソス戦争は既に終わり、陸軍最強国家スパルタが幅を利かせていた時代。英雄ペリクレス亡き、嘗ての隆盛からは程遠いアテナイより一人の青年が、スパルタへと亡命するところから物語は始まる。

アテナイに生まれ、とある事情からスパルタへと亡命した美麗の才子ティリオンと、スパルタの王女アフロディアの邂逅……それを機に、少しずつ歴史の歯車は暴走を始めた。

身内の裏切りにより生じた、スパルタによるアテナイ軍港への襲撃。権力の全てを手中に収めんとする、もう一つのスパルタ王家。不穏な動きを見せるテバイ……

二人が親交を深めてゆくのとは対照的に、大いなる陰謀と憎悪とが、ギリシャ全土を覆い尽くさんとしていた──

一度読み始めればあら不思議、まるで英雄叙事詩の世界に紛れ込んだかのような、そんな気持ちにさせてくれる。1話1話も読みやすい文量であり、気が付くと次話へ、次話へと進んでしまっていること間違いなし(経験者談)。

古代ギリシャを舞台にした、人々の思惑が交錯する壮大なる群像劇。読めば貴方はきっと、ギリシャの魅力の虜となる。

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