ウワサ
バニラアイス
心霊スポットであるトンネルのウワサを学校で聞きつけた僕。
真っ暗な空間の中にぽっかりとトンネルが口を開けている。学校でウワサを聞いて様子見程度にやって来たが、まさかここまでの雰囲気だとは思わなかった。トンネルの暗闇をじっと見つめていると、まるで永遠に吸い込まれてしまうかのような虚無感に襲われた。
そのブラックホールは、僕に明らかに本能的な恐れを抱かせた。
なのに、どうしてだろう。身体は永遠の闇を拒んでいたはずなのに、心はその闇に魅かれてしまっていた。
僕はトンネル内に足を踏み入れていた。
一歩。また一歩。踏み出すたびに、闇が僕の足を纏わりついていく。それがやがて全身を包み込み、気が付くと頭の中が闇で満たされていた。
誰かの叫び声が脳裏に響いている。
それは空気を伝ってくる振動としての音ではなく、ちょうど人間じゃない何かが脳に直接語りかけてくる感じだ。
闇が僕に何かを訴えている。
奥へ奥へと吸い込まれていくごとに、その闇は深く奥行きが増していった。食いついてきた。そして遂に僕は闇へと染まっていった。
僕は闇となっていた。
ウワサ バニラアイス @chocopeach
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