楠本美樹には毎朝の日課がある。
黒髪で清潔感を感じさせる男性と公園で会うことだ。
彼はいつも返事がない。黙って美樹の話を聞いているだけ。
でも、それで良い。彼と一緒に過ごす時間が美樹は好きだった。
ある時、隣町で殺人事件があったことを知る。
すると、彼も公園から姿を消した。
まさかと思い、美樹は隣町に向かい、物語が始まる。
短編という短い文章の物語の中で、見事に起承転結ができています。
導入から事件の起こり、起であるハラハラとする瞬間、そして、結末。
とても引き込まれました。
短編ならではの魅力を改めて感じました。
この作品の魅力は読者に感情移入をさせる上手い心理描写です。
嬉しい気持ちや心配な気持ち、不安など描写することが難しい感情がダイレクトに伝わってきます。
短い文章の中でそれを表現できるなんて、何度も言いますが、見事としか言えません。
とてもオススメです。
是非読んでみてください!!
主人公の女性は、公園にいる男性のことが気になっていた。そして彼女は彼に話しかけ続ける。例え彼がそれに答えてくれなくとも。
そして彼は急に、姿を見せなくなる。不安に思ったのも束の間、数日後、彼は再び彼女の前に現れる。しかも今度はあちらから話しかけてくれた。
しかし彼女の心境は複雑。何故なら彼女は一瞬でもこう思ってしまっていた。
──彼は連続殺人犯なのではないか?と。
──
一万字に満たない短編小説だったが、その中でも起承転結、そして人物の心象描写がしっかりとしており、主人公の気持ちに寄り添って、とても楽しむことが出来た。
何より結末が個人的にすごく美味しかった。
結局彼の正体は何なのか。主人公は一体どうなってしまうのか。気になる人はぜひ一気読みしてほしい。