ここでは皆、パブロフの犬。

 霊が見えることをひた隠しにして生きてきた主人公。
 しかし、会社の男性トイレで、一人の女性社員から話しかけられたことで、生活は徐々に破綻を見せ始める。その上、この会社でパワハラとセクハラで一人の女性社員が自殺したことが発覚する。
 そして主人公は自殺した女性の上司のもとで働くことになる。その上司は改心などせずに、日々部下に暴言を振るっていた。疲れ果てた主人公は徐々に精神を病んでいく。そして、またあの女性社員に会うようになり……。
 
 霊になっても、相手に霊感がない限り見ることすら不可能だ。
 だから、見える奴に霊たちは助けを求めてくる。

 鬱々とした展開なのに、全く重い文章になっておらず、さくさくと読み切ることが出来ました。御作を読んで、生きた人間と死んだ人間のどちらが怖いのか、改めて考えさせられました。

 是非、御一読下さい。