第7話 平穏の為に暗躍する者



「そもそもアイツに頼らなくても、国の平和、東京の結界は俺が守るんで」

「やる気満々かつ大きく出たね。流石は元祖・東京結界の北を守る寛永寺出の陰陽師っていう事かな?」

「分家の子なんで血は結構薄いっすけど」


 しかも退魔の家系なのに霊媒としての適性の方が高かったのだから、あまり血筋は誇れない。

 それでもあえて適性外の道を選んだ事も、だからこそ人よりもたくさん修行してきた自分にも、それなりの自負は持っている。だからこそ。


「あんな素人に負ける気は無いっすよ。そもそも街を壊す事に頓着しない彪木あのアホを入れたら、本格的に経理が泣く羽目になるんじゃないっすか?」

「あぁ、まぁそれは確かに――」

「戻りましたぁー……って、あっ! 先輩!!」


 噂をすれば何とやら。経理の話をしていたところに、おそらくたった今経理担当に揉まれてきたのだろう。ダボッたいパーカーを着た男が、疲れた顔で戻って来た。


「橋占、ご苦労」

「ホントですよ! 九条さん、怖いんですから!」

「京都弁で遠回しにネチネチと言ってくるからねぇ、彼」

「サンキューな」

「褒めが軽い!」


 上司の声に、歴の労い。しかしどうやら歴のあまりに軽い流しが気に入らなかったようである。ひどいと涙目で叫ばれたので、仕方がないなと立ち上がる。

 立つとちょうどいい高さなんだよな、頭をポンッと撫でてやるのに。そもそも小動物系だからちょっと愛でやすいっていうのもあるし……などと思っていると、労ってやったっていうのに橋占の機嫌が更に悪くなった気がした。

 まぁコイツも、一つ年下とはいえど、もう立派な社会人。子供対応はダメだったか。

 

「あっ、そうだ。それよりも先輩――」


 プルルルルルルッ


 橋占の言葉を遮るように、部屋の電話が鳴り響いた。

 この部屋に、滅多に電話なんて来ない。来るとしたらただ一つ。


「はい。……はい、分かりました」


 相槌を打ってから電話を切った上司が、俺達に向き直って告げる。


「二人とも、警察案件だ。他はみんなで払ってるから、さっきの今で申し訳ないけど」

「分かってるっすよ、仕事だし。まぁ国案件より警察案件の方が幾らかマシっす」

「先輩、今度こそちゃんと周りに配慮してくださいね? もう今日は僕、九条さんに怒られに行くの嫌なんで、もし次やったら今度は自分で言いに行ってください」

「うへぇ、マジかよ」


 絶対に九条さんの所には行きたくない。

 でもまぁさっきの今だ、流石に今日はもう彪木に会う事も無いだろう。なら俺さえ気を付ければ大丈夫。イレギュラーが無い事を信じよう。


 よし、と再び気合を入れて、歴はまた現場へと向かったのだった。



 ~~Fin.


――――


お読みいただきありがとうございました。

まだまだ練ればいくらでも書けそうな気はしていますが、<最強に尊い! 「推しメン」原案小説コンテスト>参加作品の為、これにて『完』とさせていただきます。


もし読んで


「まぁまぁ面白かったです」

「続き読みたい!」

「お疲れ様です~」


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