ようこそ魔界の入口へ
「な……なんですか、これ」
思わず固まってしまった。
いや、固まるよりも前に足が一歩後ろに下がっていた。
僕の直感が「こんなところにいちゃいけない!」と信号を発しているのが分かる。
「どしたん?」
しかし、こっちの驚き用も気にせずに振り向いてくる藍原さんという人物。もはや知り合いでも嫌だ。これはさすがに、ちょっとやばい。
逃げたい、いや逃げよう。
そうして、また一歩足を後ろに忍ばせる。
「どしたんって、ほらほら中入ってきなよ」
悪魔のささやきだった。
これ以上先は魔界、いやもっとヤバい地獄の世界だ。
この世で一番見てはいけない壁紙一面女性の裸体イラストの数々地獄が待っている。
おっぱいおっぱいそして一人飛ばしてまたおっぱい多すぎて目の保養どころかキャパオーバー処理落ちする多さ。
男の天国とは言えないそれに僕はひたすら絶句した。
この先は魔界、おっぱい魔界。
いや、一面おっぱいだからおっぱいルームと言った方がいいのか?
いやいや、それは違うよな。なんか違う。
言うなれば――――そう!
「って何を喜んでいるんだよ僕は‼‼‼」
「どしたどした~~、なんか顔赤いぞ~~」
やばい、体が熱い。
なんなんだこれは、火照っているのか? おっぱいとお尻と巨乳と貧乳とそしてあそこを見て暖かくなっているのか僕は!?
あっ。
やばい。おもってもないのに、僕の僕が立ってきたんだけど!!!
くそぉ、僕も所詮男なのか……死のうと思っていた僕が子孫を残そうと必死んびなって嫌がる……ぬぉ。
だめだ。
飲まれる。
このままじゃ僕が————僕で、いら――れな――ぃ。
追い打ち、いやとどめの一発か。
慌てふためき倒れかけていく僕を藍原さんは前からぎゅっと抱きしめる。
「おっとっと。ねね、だいじょうぶですかー?? あれ、だいじょぶ? ほんとにだじょうぶ? やべ、さすがにいきなり過ぎて興奮しちゃったんかな……かぁ、やっちまったなぁ私。はやまっちゃったかぁ」
「あ、藍原さん……」
「ん、あ、どした? めっちゃふらついてるけど——」
ふらつく足元、そして暖かくなる身体。
生きることを諦めていたはずの体が防衛本能で一気に熱くなり、視界が徐々に減っていく。
そのうっすらと見える隙間から、僕は力を振り絞り呟く。
「——あ、あの」
「ん?」
「あなたは、一体……」
すると、少しだけ黙り込んで最後は倒れゆく僕の耳元でいやらしくこう言った。
「私は——
「ま、じ……かょ」
そうか、だから僕の体はこんなに熱くなっているのか……。
「まぁ、嘘だけどね。実は――」
嘘、かい。
じゃあ一体、このお姉さんはなんなんだ。
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