変態は変態だった
「ほいほーい、私の家はこっちだよぉ~~」
とんとん拍子でついて行く僕。
見知らぬマンションの廊下を歩いていて急に不安になる。
よくよく考えれば初対面の僕に「ちんちんの皮むけてるかどうか」聞いてくるような人だぞ?
いやまぁ女性だし、いくらなんでも男の僕の方が力は強いと思うけど——このまま部屋で押し倒されて見ろ。その時はもう貞操を奪われるぞ、僕。
ん、まあでもどうせ独り身の僕だし、誰でもいいから貰ってくれるのはありがたいのか?
死ぬ前に拾われた身だしなぁ……気にし過ぎかな?
それとも所有権奪われたから今後は藍原さんが管理するのかな。
そうか、僕は変態の奴隷になったのか。
やばいな、やっぱり。
「んでんでぇ、この508号室が私の家でーす」
藍原さんは陽気な鼻歌と共に鍵をジャラジャラとしながら、鍵穴に見つけた銀色のそれを入れる。
ガチャリ。
よく聞く響と共に扉がギギギと開きだす。
そう、この時の僕はまだ知らない。
この先、残り一歩先。
その手の届く距離にあるそれが目に入るまで、生きていたいと思うくらいになっていたというのに。
目に見えるそれのせいで気持ちが変わるその一瞬をご覧いただきたいものだ。
「おじゃましまぁーs」
「ほいほい~~はいったはいったぁ~~」
「ん?」
僕は息を飲む。
いや、息を吐いたのか? それとも息をぶちまけた?
だめだ、そんなことはどうでもいい。
そんなことよりも、あれだ。
「——え?」
目に入るそれたち。
そのイラスト、いやその漫画。
エッチなシーンの数々。
目に見えたのは——————裸体の少女や美女たちが並んだ一面の壁だった。
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