露出狂全裸変態お姉さん
即5秒とまでは行かないまでも、僕は死ににいく前の三途の川で子猫(変態全裸お姉さん)を拾い、来た道を戻っていた。
「うぅ……寒いわねっ」
そりゃ、あんたがさっきまで全裸だったからでしょうがと頭の中でツッコミを入れる。
「いやはや、早くあったかくなりませんかねぇ」
「自分がしてください」
「世界が変わるべきね!!」
と、何を言ってんだか。
世の中には露出狂という類の性癖があるくらいだから、日本にだって一人くらいは女性でもいるんだろうけど。
普通に考えてこうも簡単にネジ外れた人と会うことがない。
生憎と人間には理性というものがある。
そのブレーキで脱ぎたい欲を抑えられるのが人って生き物なはずなのに彼女は欲望にストレートだった。
そんな得体の知れないヤバいお姉さんを拾ってしまった挙句、ご飯を作れるんだったら作ってくれと頼まれた手前、別に断る理由なんてないなと思って受け入れてしまった自分が今になって恥ずかしい。
いや、冥土への土産にお姉さんとのエッチを貰えるのなら本望だけれど、なんかそういうわけでもなさそうだし。
あぁ、そういえば名前聞いてなかったっけか。
「あ、あの」
「ん、なに?」
「名前をお聞きしてないなと思いまして……」
「ほう、名前を知りたいと?」
「そんなところです」
こんな変態お姉さんになんで僕は敬語で話しているのだろうか、甚だ疑問だ。僕の弱者っぷりも突き抜けているな。
「いいだろう。ただし、名前を知りたければ自分も名乗ることだなっ‼‼‼」
アニメやら漫画やらで何度も聞いたありきたりな言葉をドヤ顔で告げられる。
綺麗なお姉さんが言うと確かに映えるかと思うけれど……露出狂全裸変態お姉さんが言うともなると色々とおかしい気がする。
「じんた、
「じんた……へぇ、なんかどこかで聞いた事ある名前だわね~~」
「気のせいなんじゃないですか?」
嫌だ、両親も親戚もいないけど、さすがにこの全裸変態露出狂お姉さんが知り合いだなんて恥じすぎて絶対嫌だ。
うん、僕の記憶にこんなお姉さんはいない。いない。いるわけがない。
絶対あり得ない。
「まぁどっちでもいいけど! 今日からは友達だしね~~」
「いや、別に僕はまだあなたの事を友達だとは思ってませんけど」
「え、まじで!?」
「マジですよ。だいたいまで出会って10分くらいじゃないですか」
「えぇ~~、いいじゃん話したら友達でしょぉ~~」
そんな人世界のどこを話してもいないだろう。友達って言うのはもっと仲良くなってからなるものだ。
まぁ、知り合いにはなったかもしれないが。
いや、でもやっぱりこの変態と友達になるにしろ知り合いになるにしろちょっと嫌だな。
「って、それはいいですけど、お名前はどうなんですか?」
「名前ねぇ……どうしようっかな」
「さっきのは嘘ですか? あんなにカッコつけていたのに」
「いやいや、そう言うわけじゃないよ~~? ただね、私には名前が二つあるからさ。どっちにしようかなって」
「ミドルネームでもあるんですか?」
「うーん、そういうわけではないかな? 正確には名前と呼べるものが二つある、かな?」
呼べるものが二つある。
つまりは国によって使い分けるとか?
別にここは日本だし、僕も日本人なのでそれでもいいんだけどな。
「まぁ、こっちでいっか――私は
「は、はい……」
さっきまで全裸だった女性の手を握り、握手を交わす。
少し乗り気ではなかったが、この冬の寒さでほんのり暖かいお姉さんの手の握り後事は悪くなかった。
そうして、そんなこんなで俺は変態と知り合ったわけである。
「あ、そうだ立石君!」
「なんですか?」
「君って、ちんちんの皮むけてる?」
「ぶん殴りますよ」
過度な下ネタで笑いを取りたいのかは知らないが生憎と僕は下ネタはそこまで好きじゃない。
まったく、最悪な人を拾ってしまったもんだ。
いや、拾われたのは僕か。こうして死なずに歩いているわけだし。
まぁ、ちょっとくらい生きてみるのもありかもしれないな。
——と、今の僕は知らない。
この後、まさか生きたくないと思うような超絶下ネタ展開があることを……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます