その選択は希望か絶望か。深夜に立ち寄ったその場所で神の審判が下される運命の瞬間的な件。

維 黎

380円

 カレー全般が好きだ。

 好んで毎日何某なにがしかのカレーを食べるというほどではないが、別段、毎日でも構わないと思うほどには。

 最近、多少なりとも巷で噂のレトロ自販機が並ぶ一角で。

 "カレーうどん"か"きつねうどん"。


 カシャカシャン。


 硬貨を入れる音が誰もいない静寂の中、耳に残る。

 どちらも同じ値段。

 意中は決まっているが、あえて左右の人差し指をそれぞれのボタンに添える。

 

 ピッ。


 同時に押す。


 ゴトゴトン。

 ヴゥゥゥ。


 にやり、とする。

 出来上がる前にどちらが選ばれたかわかった。

 それは偶然にして必然。

 嗅ぎ慣れた香辛料の匂い。

 

 くぅぅぅ。


 腹が――減った。



          ――了――


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その選択は希望か絶望か。深夜に立ち寄ったその場所で神の審判が下される運命の瞬間的な件。 維 黎 @yuirei

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