光と影の物語

なんて不幸な物語なんだろうと思いました。
光と影のように不幸があるから幸せを感じる事が出来る。
幸せだけを感じ続ける世界に生きる人は本当に幸せだと言えるのだろうか?

幸せを感じる事の出来ない母がただ一人の息子のために願った「幸せ」が息子にとっての「幸せ」を奪っていた。
母は「息子を幸せにしたい」という願いを込めて電球を作り、息子が幸せになるはずの世界を実現させたときに初めて「幸せ」という物を感じる事が出来たのかもしれない。
しかしそれは息子にとって不幸そのものであり、大切な物を奪う物でしかなかった。

その事実が封じられた紙が電球の真下にあったという事は、幸福を感じる事の出来る電球の世界一強い光が生んだ一番強い影の不幸だったのかなと感じました。

ところどころ挟まれるシャノとの思い出が、変わってしまった世界の中で変われなかった二人の美しい思い出として描かれているのも良かったです。

最後がどうなったのか物語の余韻に浸りながらゆっくり考えたいと思います。

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