クソデカ感情描写の鬼・根占先生が描く恋愛和風ファンタジーときたら、それは期待するしかないわけで。
そして、しっかり期待値を超えてきました。
最初は敵かと思ったアイツが要所でめっちゃ頼もしい存在になったり。
過去のエピソードと関係性を、登場人物の行動原理にこれ以上ない形で上手く落とし込んできたり。
本当に、エモさの最大出力の出し方とその出しどころをよくわかってらっしゃるなぁ、と。
一気に駆け上がるラストと壮大な締めくくりには、比喩ではなく鳥肌が立ちました。
ちょっと今日はエモさにやられて、大きめの作業が手につきそうにありません。どうしてくれるんですか根占先生!
あ、余談ですが主題歌は-真天地開闢集団-ジグザグに歌ってほしいです。よろしくお願いします。
世界観が素晴らしい。その一言に尽きます。
コンテストのテーマである「和風ファンタジー」を「よくある設定」ではなく作者独自の世界観で描き切っている一味違った作品です。
客神という現人神として祀られ、閉ざされた世界で生きて来た常若。
そんな常若を狭い世界から解き放った千種。
外の世界に出て様々な人々と出会い、触れあい、「人として」成長していく常若の姿が微笑ましく、読み終える頃には「幸せになって欲しい!!」という気持ちでいっぱいになります。
もう一つのテーマである「契約結婚」も話の流れで上手く取り入れられており、これなくしては語れない読者にとってのニヤニヤポイントとなっています。
二人がなぜ契約結婚をすることになり、どのような結末を迎えるのか。
是非その目で確かめてみてください。
繊細でするすると読める文章は、淀みがなく清流のよう。
高い筆力に支えられた描写力と、細部まで練られた世界観がとても美しく、一瞬で惹きこまれていました。
“呪い”という人間の恐れる業を背負いながら、日々薄れていく感情を自覚していた常若。
どうしてこの子がこんな目にあうのだろう。
そう思わせる空気が、物語の中には満ちていました。
しかし、そんな常若の元に千種という神使がやってきます。
この千種という男性ですが……とてもエモいです。
ここでスパダリは狡いよと、思わず呟いていました。
スパダリは女子の理想郷そのもの。
つまり、読者にとっては大正解なのですが……(笑)
和の空気を文字だけでも堪能することができ、薫る世界観にじっくりと浸れる物語です。
キャラクターの魅力も丁寧に描きつつ、常若と千種のピュアな距離感にキュンとさせられることでしょう。
まだの方は、ぜひ読んでみてください。
引き続き、心より応援しております。