第25話 何か思ってたのと違いました
「失礼しまぁす……シンシア様を取り戻しに来ましたぁ」
俺はそーっと教会の中に入る。
中は昼とは思えないほどの暗さで、とてもじゃないが明かりなしでは進むことができないほどだった。
いやこの教会どうなってんだよ。
外は燦々と太陽が地上を照り付けてんだぞ。
何で窓もあるのに暗いんだよ。
まぁこう言う時ほど引き篭もりは強くなるもんだがね。
今の俺はマジの王国最強だぜ。
「何ておふざけは置いといて。それにしても此処は本当に不気味だな……」
別に暗いから怖いとかじゃないぞ?
ただ——
「全然生き物の気配がしないんだよなぁ……」
それが怖いのだ。
普通どこに行っても何かしらの気配があるはずだからな。
居ないとこなんて俺の部屋くらいしか知らないぞ。
「……あれ? なら此処全然怖くなくね? もう俺の部屋と一緒じゃん」
俺はそんな事に今更気付く。
そう言えば俺の部屋も結界とか虫除けとか沢山してたから全然生き物が寄り付かなかった。
オマケに家族以外は入れない様にしてたし、その家族も俺の部屋に入ろうとしなかったからな。
何でも気持ち悪いって。
……グスッ……実の息子に気持ち悪いって酷くないか……我が妹はあんなに褒めてくれたのに……。
もう俺妹と弟しか守らん。
俺が1人心に誓っていると、何かを抜ける様な違和感を感じた。
「あれ? 何だったんだ今の……って——は?」
俺は目の前の光景に思わず首を捻る。
そこには禍々しい神官服を着た男達が1人の見たこともない様な美しい剣を持った美少女と戦っていたからだ。
しかし神官達は1人の美少女に成す術なくボコボコにされている。
あ、因みに美少女はシンシア様ね。
要はシンシア様が敵の邪神教徒達を木端のごとく吹き飛ばしているってこと。
「はぁああああ!!」
「や、やめ——グハッ!?」
「ひっ、ひっぃぃぃぃぃ!?!? ご、ごめ——ッ!?」
「くそッ、何でこんなに理不尽なんだ! そこらの盗賊の方がまだ優し——グペッ!?」
…………うわぁ……容赦ねぇ……。
さっきの哀れな神官くんの言う通り、これならまだ盗賊の方が優しいぞ……。
俺は彼女が曲者揃いの騎士団の団長をやっている理由が今やっと分かった。
こ、この人……手加減と言うものを知らないんだ———ッッ!!
俺は余りにも驚き過ぎて体を攣ってしまった事で動けないので、取り敢えず結界を張って防御体勢を取る事にした。
これで大丈夫だろう。
何せこの結界は俺が張れる中でも最上級に強い奴の多重結界だからな。
勿論魔法物理無効化も付与してある。
俺が一安心して地面に座った瞬間。
「【
「「「「「「「「うわぁぁぁぁああああああああ!?!?」」」」」」」
シンシア様の剣技が発動されたため、結界がまるで豆腐の様に綺麗に真っ二つにされた。
俺のその事の絶叫と、神官達はその攻撃に当たるまいとして避ける時の絶叫が綺麗に重なり合う。
そしてその後に起きる強大な風。
俺たちはそれにな何なく吹き飛ばされて壁や天井に思いっきり俺も一緒にぶつけられた。
「あれぇ!? レオンさん!? ど、どうして此処に-———」
そんな俺に気づいたシンシア様の声を聞きながら気絶した。
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