第24話 廃教会って怖いよね

 俺は短距離転移を繰り返してどんどん森の奥へと進んでいく。

 

 いやぁ、何て楽なんだ転移。

 これで魔力も何かに肩代わりしてもらえれさえすれば全自動移動機に出来たのに。

 

 俺は物凄い速度で森の中を転移しながらそんなことを考える。

 しかし今はそんなことを考えている状態ではなかったな。

 

 俺は意識を切り替えて、いつでも戦闘が出来るように準備しておく。


 シンシア様の身に何かあるとしたら、それこそ人質を取られるか、裏切られるかしかない。

 しかし人質なんて王族には居ないだろうし、シンシア様くらいの力があれば余裕で救い出せそうだし。

 なら裏切り一択か?

 だが、裏切るにしても一体誰が?

 確かシンシア様と一緒にいたのは……あの騎士団の男か。


 俺は今日の中で見て来た男の人となりをイメージする。


 奴は見た感じ正義感溢れる頑固そうな感じだったな。

 実際俺をめちゃくちゃ不審な目で見てたし。

 だが実際にそんな見るからに正義感の溢れる奴がこの世に存在するか?

 それこそ宗教に入っている神官みたいな奴らじゃない……と…………。


 俺はそこでわかってしまった。

 まぁ元から此奴しかいないとは思ってたんだけど。


 でもそうか。

 彼奴騎士に見えて神官だからあんな正義感が強かったのか……。

 でもああ言う奴って騙されている事が多いよなぁ……。

 だって邪神教何て一般的には悪に分類される組織だし。


 俺は騙されていそうな騎士が少し哀れに思いながらも先を急いだ。






<><><>






 ——10分後。


 俺は遂に目的地であろう廃教会に到着した。

 そこは如何にもお化けなどの怖いものが出そうな雰囲気が漂っていた。


 …………ここ入りたくないんですけど。

 俺…………怖いもの大の苦手なんだよね。

 昔、又もやカレンと一緒にお化け屋敷に入っタノがトラウマでさ。


 と言うか俺ってカレンに苦手な物増やされすぎじゃない?

 俺の嫌なエピソードにカレンが必ず出てる気がするんだけど。

 まぁあの時はカレンのせいではなかったんだが。

 何なら俺と同じくカレンもトラウマになってた。


 そのお化け屋敷には、マジもんのゴーストが住んでいたらしく、それに俺たちが偶々出会ってしまった。

 その時はお互いに外見など気にせずに大声で叫びながら逃げたのをよく覚えている。


「あの時ほど怖かったものはないなぁ……母さんの説教以外で」


 母さんの説教は怖さの次元が違うからノーカウントだ。

 あれを喰らったら丸2日は寝込む。

 

 閑話休題。


 俺はお化け屋敷マークIIに恐る恐る近づいていく。

 近づいて行くほどに不気味な雰囲気が強まって行っている気がするのは俺だけだろうか。

 あ、俺しかいないから俺だけだわ。

 怖すぎて頭おかしくなったかもしれん。


 あ、勿論もう既に剣も構えているぞ。

 ついでに魔法の準備も。

 いつ何時何が起こるか分からないからな。

 それにゴースト出たら剣じゃ戦えないし。


 しかし本当に雰囲気が凄いな……まるで威圧されている様な……ん?


 俺はそこまで考えて首を傾げる。

 近付くほどに雰囲気が不気味になるっておかしくないか? と言うことに気づいたからだ。


 もしかして……結界か何か貼ってあるか?


 俺は魔力を拳に溜めても思いっきり振り抜く。

 その瞬間にパリーンと言うガラスが割れた様な音が発生したかと思うと、不気味さが一気に軽減された。


 勿論ゼロじゃ無い。

 だって見た目が怖いし。


 でもシンシア様に何かあった時の方が怖いし……頑張るか……。


 俺はガタガタ震えながら廃教会へと入った。--------------------------

 新作投稿しました。

 ぜひ読んでみてください!


『チートを貰えなかった落第勇者の帰還~俺だけ能力引き継いで現代最強~』https://kakuyomu.jp/works/16817139554674824921



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る