分岐する世界、分岐する恋。出会うあなたはいずこに

 タグにある通り、乙女ゲームのような小説なのですが、「攻略対象」のキャラを選んでそれぞれのルートを進むということと、可能性や選択の数だけ世界が分岐するということが重なっているようで面白いと感じました。
 現在は特殊能力バトルの実力がトップの「一色遥」ルートですが、それぞれのルートが独立した一つの世界へ分岐していくのか、それぞれのルートでの恋愛や試練や成長が主人公が並行世界の在り方や元の世界に戻る手がかりに結びついていくのか興味が引かれます。
 現在の「一色遥」ルートについて、この手のキャラとの関係性だと主人公も能力に覚醒、しかもとても特別で……という感じを想像しがちですが、能力がなくても出来ることや価値を見つける、という目標があるため(また、世界の管理人ナギが能力がない人間に価値なんかないと決めつけているため)能力に目覚めないまま成長、関係を深めていくストーリーになるのかもしれないですね。
 その方向性もとても面白そうです!

 また、プロローグで仄めかされていた初恋の男の子や世界を移動する前の謎の声など、この並行世界だけに留まらなさそうな謎も気になります。
 果たして、世界を越えて出会う「あなた」とは各ルートの少年たちなのか?
 初恋の男の子と出会う日は、そして元の世界に戻れるのか?
 ストーリーの先を追いたい作品です。

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