名前や文字数にも力を入れていてとても興味深い作品です。何より読みやすくさくさくといけそうですが優しく物語が綴られているのが印象的です。気になるかたは是非ともみてみてほしいです。
祖父の本屋を受け継いだ宮部志保里。町にある最後の本屋で働く志保里は、今日もタイプライターを打っている。本屋に立ち寄ったお客との何気ない会話。本屋さんの仕事や、赴いた大学図書館で働く人々との交流。いつもの一日だけど、そこには日常を生きる人々の何気ない人生がある。本屋や図書館の仕事を眺めるのも楽しいし、本に囲まれる人々の生活が垣間見える。毎日が特別ではないけれど、かけがえのない本屋さんの日常を描いた素晴らしい一作。
淡々と、淡々と。何気ない一日の、何気ないシーンを切り取っただけの作品、ともいえる。自分のあずかり知らない世界を、あるがままの形でポンと置かれて、感心するような作品、ともいえる。けれど読み手を問わずいえるのは、ここにはこの世界特有の時間が流れ、その世界ならではの人たちの生活が息づいている、ということ。小説を読む愉しみのひとつが、この作品にはある。
本屋がなくなっていくというお話は多いです今回のお題ではこのお話もその一つになるのでしょうが、少し趣が違います寂しさよりもなつかしさ変わらない日常の安心感しおりを挟んだページから、ゆっくり読み進めていくようなほのぼのとした雰囲気を味わえました「図書館装備」も初めて知りましたほっこりと同時に知識もなんともお得感のある読後でした