第9話 eight
神様とやらは、どこからメールを送ってきたのか謎だが、秋月は黙って一路の話を聞くことにした。
「まあ、添付ファイルも最初はウイルスだと思われていて開かれることはなかったのですが……。そのうち、まったく反応が無いことに痺れを切らしたのか、届いたメールが勝手に添付ファイルを展開しだして、それを見た各国が大騒ぎにということです」
「そうですか」
話を聞けば聞くほど、何かの漫画家アニメの設定のようにしか思えず、実はどこかにカメラが隠れており、そのうち飛び出してくるのではないかと思えるほどであった。
「それで、神様ってどの神様?」
「色々とおられます。メジャーな神様からもの凄くマイナーどころか、今まで居なかった神様まで、それはもうたくさんです」
「それで、神様はどこに住んでいるんですか?」
半分やけくそ気味に秋月が尋ねる。
「どこなのでしょう?」
首をひねる一郎に、やはりこれはからかわれているのだろうと思う。
「おそらく、我々が考えている存在とは違うと思います。宇宙人とか、別次元の存在とか、そのような感じだと思われます」
それならまぁ、納得は出来そうな感じだと秋月は思わず頷く。それを見た一郎は、理解し受け入れられたと思い、勢いよく身を乗り出した。
「ということで、こちらに署名をお願いできますか?」
最高の笑顔で鞄から取り出した紙を見せた。だが、秋月は冷たい視線を返すだけだった。間違えたと思い、今度は夏月に向かって紙を差し出す。夏月は、不思議そうに小首を傾げた。
「代理バトルに、日本国所属として出ますという契約書です」
「ちょっと待つっす」
ジョンは、同じように夏月の目の前に紙を差し出す。
「ここ! ここにサインするっす」
契約書を差し出しながら迫り来る二人を交互に見つめ、夏月は困り果てた。どうしてよいのか分からず、助けを求めるように秋月へと視線を移す。
「田中さん」
「鈴木です」
「その契約書についても説明を」
すでに一郎の名字などどうでもよい様子で、秋月が尋ねた。
「添付されてきた情報や技術は、最終的な勝者が所属していた国が権利を持ちます。なので、所属者が多い方が有利なんです」
「そうっす。ということで、かのじょ完全にアメリカ人にYouなっちゃうっす。あ、もういっそのこと、俺たち結婚しちゃうっすか? そしたら、何の問題もないっす。俺、将来は大統領になる男っすから、お買い得っすよ?」
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