第11話 ショタとお別れの危機
朝日がまぶしい……。
もう夜明けだ。
あたしたちはお屋敷まで帰ってきた。
ジャン君が魔法のじゅうたんで、あたしの部屋のバルコニーまで送ってくれた。
「おやすみなさい。ローザ様」
「おやすみなさい。お嬢様」
ジャン君とセバスチャンとあたしは別れた。
前世で1日4時間睡眠で出勤していたあたしも、さすがに眠くなってきた。
婚約破棄から始まって、ジャン君を魔法学園の前で拾って、魔法のじゅうたんで火の精霊と飛んだり……
マジでいろいろありすぎた。
あたしは天蓋つきのベッドで寝た。純白のカーテンに囲まれた、あたしだけの安心できる場所。朝の小鳥の声が聞こえてくる。青白い朝日がカーテンを通して、靄がかかったようにあたしを包み込んでいた。
……最初、ここへ来たときはこの天蓋つきのベッドがすごく嬉しかったな。
本当のお姫様になれた気がしたし。
「朝、みんな会社に行く時間から寝れるのは、本当に幸せー!!」
あたしが最高の幸せを味わおうとした時、
「ローザ様!おはようございます!!」
マリアが部屋へ入ってきた。
やばい!!
まだ寝てるフリをしよう。
「ローザ様、まだ寝てるんですか?」
「ううん……今日は寝かせてよ」
「ダメです!ローザ様には今日、やることが山ほどあります」
「なによー??今日は無理!!」
「旦那がお見合い候補を10人連れてきました。お会いしていただきませんと」
10人も男と会うのか……
今のあたしは普通の男と話したくなかった。
ジャン君のわしゃわしゃした頭をまた撫でたいな。
新しい執事のセバスチャン・フレイムと午後のお茶会。
不思議な魔法がいっぱいあって、楽しかったなー
あれこそ本当の「異世界」だった。
「ローザ様!!急がないと、ハイスペックな殿方ほど早く売れてしまいます。いいのですか?カタリナ様のようになっても!」
カタリナは異世界でのあたしの叔母だ。
異世界の貴族では珍しく、結婚してない。
いわゆる「いきおくれ」ってやつだ。
社交界では哀れな人だと思われているけど、わたしは好きだ。
王都でカフェをやっているらしい。
貴族が働くなんて、異世界ではあり得ないからすごいことだ。
今度、ジャンくんといきたいなあ……
「は!」
あたしは大事なことを忘れていた。
あたしは飛び起きた。
「はあ……やっと起きましたね。では朝の支度を……」
「マリア!!ジャンくんは??あとセバスチャンも??」
「え!ジャンくんならさっき出て行きましたけど……。セバスチャンってどなたですか?」
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婚約破棄された子爵令嬢が、ショタ賢者を拾って愛でる 水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴 @saikyojoker
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