優しさのカルテ。『ワタシ』を見守る者たちの物語。

記憶と共に失われた人格と、代わりにその人生に途中参加するように生まれてしまった『ワタシ』。それまでの時間の履歴はなく、自我だけの存在ながら、身体に染み込み馴染んでいくようにも見えました。
新たに得たこれまでと異なる視点や感覚で、新たな人生を歩んでいくのでしょうか。

『ワタシ』の行く末を選ぶのは『ワタシ』。
『ワタシ』が生まれ、その先の在り方を選ぶまでを、確かに見守る者たちが居た。
分岐に立った時にただ導くだけが、良かれと想うことだけが優しさではない。
それを改めて浮き彫りにし、心の救済を美しく描いた物語だと感じました。

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