国を革命するためSOSの暗号を通貨に忍ばせました

国境の関所に、黒い馬車が通りかかる
「どうも衛兵さん、おクスリ届けに来たぜ」
「遥々ご苦労オスカー、助かるよ」
「こちらこそ」

馬車の2台に積まれた大樽には、誰もが求めて止まない薬が入っている

オスカーの母国の特産品、どんな病も治す万能薬”ダチュラ”
一般に伝えられている製法は御伽噺の魔法のよう。王家に代々伝わる特別な花を朝露に浸し、教会に座す聖女様の祈りで特別な効能を宿すとか

『笑えねえよ』

現実はおぞましく血生臭い
無差別に選別された平民を、なんらかの方法で魔法のクスリに変えている
多くの犠牲によって成立つ奇跡

なお最悪なことに
ダチュラの原料を知った上で、貴族達は万能薬の製造を国家の根幹事業として推し進めている

「オスカー様、検閲は滞りありませんか」
「ああジュリアス。問題…続きを読む